ハチミツとクローバー 「雨の終わる場所を見た」

今月号のハチミツとクローバーでは、とうとう竹本が日本最北端の地・宗谷岬に達したのだけど、これがまた僕の中では漫画史上に残る名シーンだ。画・構成・ネーム、すべて素晴らしい。
神がかっていると言ってもいいくらいだ。
中でも特に宗谷岬に達する直前の一群のカットがステキ。
「道路を横切る雲の影を見た/−そして 生まれて初めて 雨の 終わる 場所を 見た」
こんな言葉、書けそうで書けるものではないですよ。なんちゅうシンプルにして深い、滋味あふれる旅情あふれる言葉だ。

体をむき出しにして乗る乗り物で旅するのを好む人間にとっては、そうそうそうそうそう、と、同意5乗したくなるくらい、それですよまさしくそれ!感が伝わってきます。
置かれているその状況を叙述しているだけなんだが、何百行も旅の魅力をずらずらと並び立てるよりも、わずかこの3ページのほうがずっと饒舌に語りかけてくる。
ウミノさん自身の経験ではおそらくないのだと思うが、良い取材対象に良い取材をしたのだなあ、とつくづく思わされた今月号でしたね。

ひとまず今日で仕事のピークが過ぎて、来週までトラブル対応程度に落ち着いた。とりあえず来週以降は休日に休める程度にはなっているだろう。
なんとか来週末は有給を取ってツーリングに行きたいのだけど、今月号のこの漫画を読んでいたら激しく日本最北端の地・宗谷岬に行きたくなってしまった。東北方面に行こうかなと考えていたんだが、いやすっかり感激して影響されてしまいました。
数年前雑誌で読んだところによると、宗谷岬では近くの店から大音量で変な演歌みたいなのが流れ続けていて、気分だいなし!とのことだったのだが、いま検索してみたところ、少なくとも「2000年9月に訪れた時には、演歌は流されておらず静かでした」とのことだ。

そうだよなあ、宗谷岬まで来て演歌が流れていたら、この名シーンはありえないもんなあ。少なくとも
「地の果てというものは/もっと/さびしいところだと思ってた/こんな/明るくて/せいせいした所だとは/思ってなかった」
などというネームには、全くふさわしくない場所になってしまっていたに違いない。