Wu-Tang Forever
生まれてから見た広告コピーの中で最強だと思ったのが、確かもう15年位前、東京ビューティクリニックのものだと思ったのだが
あなたの顔は、まちがっているというものだ。ひでーな、他人の顔を全否定(←ひとつふたつ上の世代の人が好きそうな言葉)かよ! 日本語の文法としてはおかしくないのに、用法として「顔を間違う」というと、なんたるインパクトの強さよ。
- アーティスト: Wu-Tang Clan
- 出版社/メーカー: RCA
- 発売日: 1997/06/03
- メディア: CD
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たいへんインパクトが強く、CD屋で流れていたのを聴いて即購入して、その後1ヶ月くらいこればっかり聴いていたものだった。
特にdisk1の3曲目、"For Heavens Sake"がスゴイ。
単調なビートにぶら下がっていく、すべての音がまちがっている。てんでばらばらな方向に向かおうとする音ネタを、単調なビートがガッチリ手綱を引っ張っている。ぜんぜんネタとキーの合っていないベースが「ブルブ!」と唸るたびにしびれる。ムリヤリなトランスポーズでネタがひねくり回されるたびにしびれる。
こんなに間違っているのに、なんでこんなに「音楽」になっているんだろう。暴れまわるネタどもを従えて、手綱は弛緩したりピンと張ったりして、そしてビートは単調に延々と続く。そして時々ズッコケて僕はまたしびれる。
かなり久々にこの曲を聴いて、突然にこの広告コピーを連想して思い出してしまった。
うっすらと、なにかが間違っているなあ、なにか凸と凹がハマってない気がするなあ、と思っているときが一番恐ろしい。間違えていないなら間違えていないで、間違えているなら間違えているで、どっちかハッキリ決着をつけて欲しい。そしてこの音楽は間違いを間違いのままに決着をつけられて僕の耳に届いてきている。