16:9はフレーム自体に力がありすぎる

CCD自体が16:9のアスペクト比の、DMC-LX1というデジカメを買ったのだが、16:9の細長いフレームは、なかなか扱いづらいものだった。

16:9というアスペクト比のフレームは、そのフレーム自体が「力」を持っていすぎるのだ。
横位置にすればフレーム自体から、「横に広がろう」とする「力」を感じてしまう、縦位置にすれば「上か下に伸びよう」とする力を感じてしまう。
フレームの中で、撮影したいと思ってる要素を「構成」しようとするとき、そのフレーム自体の持つ「力」が強くて、フレーム内の被写体の持つ「力」をどうバランスを取るべきなのか、迷ってしまうのだ。

「構成」については、以下のリンクが刺激的です。
・Web写真界隈 写真にとって「構成」とは何か?
いまの話題は上記リンクで言うところの"composition"という意味のほうですね。

3:2とか位までなら「これは横/縦画面である」と規定している程度の「力」であって、フレーム自体が広がろうとしたり伸びようとしたりまでの「力」は、それほど感じない。
思い切って、掛け軸とか屏風くらいに、極端に横/縦長ならば、「横に広がりきった」「縦に伸びきった」という安定が感じられるのだけど、16:9って、どうもフレーム自体に力がありすぎる感じなのだ。

とはいえ、単にまだ16:9の視界に慣れていないが故の違和感かもしれないので、慣れてくればその違和感を、あえて楽しんだり、利用したりできるのかもしれない。

その点、正方形の画面は、フレームの持つ縦横の「力」の効力が中立なので、フレーム内での「構成」そのものが、ストレートに力強く表出してきて面白いし、好きだ。
正方形のフレームの中で、構成要素を複雑にすると、その複雑さが圧迫感として僕には感じられてしまう。これがほんのちょっと、たとえば4:5とか、6:7になっただけで、一気にその鼻が詰まったような圧迫感が抜ける感じが出る。
これは自分で撮影したもので試せば、誰でも実感できる気がする。

中判カメラの正方形画面って、ペンタプリズムがまだ発明されてなくて、レンジファインダーでないカメラでは上から覗き込む姿勢が必須であって、縦位置撮影が面倒だった時代に、あとでトリミングすることを前提に発祥したもの、と以前に何かで読んだ記憶がある。
正方形の撮影時に、のちに長方形にトリミングすることを意識するのは、フレーム自体の持つ力が中立なゆえに、その逆よりは、それほど難しいことではないだろう。
あとで正方形にトリミングすることを前提に、3:2とか4:3で撮影するのに熱中していた時期があったのだが、これが意識の切り替えがなかなか難しかった。コンパクトデジカメの液晶に、黒いビニールテープを貼って、無理やりに正方形で見えるようにすると、一気に楽になったことを思い出す。