東京湾フェリー〜安房小湊〜行川アイランド跡地

今回の青春18きっぷの有効期限は4/10までなのだが、あと2日分残っている。仕事が谷間になったようなので、今日明日で使い切ろうと思った。
今回は、バイクや車では微妙にアクセスしづらい、千葉方面に向かうことにする。かといってオール電車というのもちょっと芸がない。今回は、三浦半島久里浜から、房総半島の金谷へと渡る、東京湾フェリーを使ってみることにした。

久里浜駅からは、フェリーターミナルまでバスが出ているのだけど、地図を見たところ、3km無いくらいだったので、歩いて行くことにする。


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今日はかなりの暑さだ。Tシャツ一枚でも汗をかいてしまう。桜並木は8分咲きくらい。生け垣の葉が春の色をしている。

 

尻こすり坂通り」などという、気になる地名を横目に見つつ、フェリーターミナルに到着する。




車もバイクも無い、単なる乗客としての運賃は大人600円。金谷までは40分ほどで到着。距離と時間を考えるとけっこうリーズナブルなのではないかと思う。



今日は風が強かったせいか、揺れがわりと大きかった。ちょっと船酔いしてしまった。以前に乗った駿河湾フェリーと違って、富士山とかの見栄えのする風景があるわけでもないので、ちょっと単調である。

 

 

 

 

金谷に到着。そういえばフェリーに徒歩で乗ったのは始めてである。ついいつもの癖で駐車デッキに並んでしまった。徒歩客として降りる段取りがわからない。

 



フェリーポートすぐ近くに"The Fish"という、シーフードレストラン兼土産屋があるので、そこで食事しようと思った。しかしちょうど昼時なのでかなりの混雑でレストランは満員。しかしレストランとはまた別に、もっとカジュアルな、ラーメンや定食を出す店があった。
このあたりの特産物がなんなのか知らないのだが、こちらのメニューはまぐろ関係が中心なようだ。ぶつ切りまぐろ丼というのを食べる。いかにも新鮮な感じのきれいな色と食感でうまい。



腹が満ちたところで、浜金谷駅へと歩く。漁港に隣接した金谷海浜公園に立ち寄ってみる。この公園にはプールがある。久里浜よりさらにもう一段階暑い感じで、今なら気持ちよく泳げそうなのだが、営業はしていなかった。

 

 

 



さて安房鴨川行きの内房線に乗る。駅のすぐ脇に小学校があり、そこの桜はもうだいぶ散っていた。


内房線の車内はかなり暑い。窓を開けて風を取り込みつつ写真を撮るが、視界を笹が遮ることが多かったりして、見ごたえがあるような風景ではない。



さて今日のメインイベントは、行川アイランド駅訪問なのだ。
行川アイランドというのは、ほりのぶゆきの言葉を借りると「昭和40年代のテレビドラマでは、家族のレジャーのシーンは必ず、行川アイランドのフラミンゴショーだった」のである。子供の頃からあまりテレビを見ない僕だったが、戦隊ものとかで見た記憶はある。いま20代以下の人は知らないんじゃないかな。
ほりのぶゆきの「旅マン」第12話の舞台になっているところだ。このときは廃園ギリギリ一歩手前だったんだろうな…。
2001年に行川アイランドが廃園になってしまい、この駅もそれに合わせて廃駅にする計画もあったらしいのだが「勝浦市および地元住民の要望により無人駅として」今は亡き、行川アイランドの名はそのままに、生き延びたということである。
行川アイランド跡地は厳重に封鎖されているという話は知っていたのだけど、これはぜひ見に行きたいものだなと以前から思っていたのだった。

時間に余裕はあるし、ただ行くだけなのもつまらないので、ちょっとアドベンチャー要素を加えることにする。一つ前の安房小湊駅で降りて、海沿いの道を歩いて、行川アイランド駅に行くことにした。地図で見る分には3kmちょっとくらいか。
まず国道128沿いに、内浦海岸、内浦漁港を右手に見ながら歩く

 

 

このまま国道128を歩くのはあんまり面白くない。長いトンネルも多いから怖いし。海沿いの脇道に入って行く。途中に誕生寺という変な名前の寺があるおかげで、それが看板によく出てくるので道に迷わないで済む。
誕生寺を過ぎると、寂しい山道に入る。車通りはほとんど無い。他の通行者は皆無。うぐいすの鳴く声が木霊している。ほかには海の音がかすかに右下方から聞こえるだけ。なかなか静かでよい雰囲気である。

 

 

トンネルを抜けると、いきなり海が広がっている。ここからは海沿いの崖の上の道である。天気がどんよりと曇ってしまったのが残念だ。多少涼しくなったのはありがたいけど。

 

 

写真を撮っていると、遠くからコンガの音が聞こえてきた。これが木魚の音とかだったら、恐ろしくてゾーッとしてしまったのだろうが、コンガの陽気なリズムだから、妙にミスマッチでおかしい。


どうも、若者二人組が遠慮なく音を出せるところということで、ここで練習しているようだった。この海沿いの道で、僕以外の人間は彼らしかとうとう見なかった。向こうもまさかこんなところに人が(しかも徒歩の)くるとは、予想だにしていなかっただろう。

それにしても恐ろしかったのは、この手作り感あふれる鳥居である。


塩ビパイプを組み合わせて、乱雑に塗装して鳥居っぽくしているのだが、なぜこんなところに、という驚きと、この血が滴るような乱雑な塗装が、なんだかとってもイヤな感じである。


小さい漁港が見えてきた。マピオンの地図には乗っていないのだが、ツーリングマップルによると、これは大沢漁港だろう。ということは行川アイランド駅に近づいたということだ。ここで再び国道128に合流する。ここからは道に迷うといやなので国道から駅に向かうことにする。



とうとう行川アイランド駅に到着した。時刻表を見たところ、電車が来るまで30分ほどあるようなので、行川アイランド跡地へ向かうのにちょうどよい頃合だ。
道端の看板も「行川アイランド」は黒く塗りつぶされてしまっていた。

 

行川アイランド跡地前の歩道橋から入り口付近を見下ろす。


入口から入ってみる。警備員とかはいないようだけど、特に荒廃している様子はない。

 

 

トンネルを越えた向こうが、行川アイランド跡地なのだが、やはり厳重に封鎖されていた。山で隔てられているので、普通には侵入することはできない。いや侵入しようと思っていた訳ではないですよ。

 

しかし今、行川アイランド跡地が、どんな事態に陥っているのか、これはぜひ観察したくて興味津々である。見学ツアーでもやってくれないかな。GoogleMapだと、ちょうと建物跡地のあたりで、解像度が低いところになってしまっているので、なにがなんだかさっぱりわからない。かなりイイ感じの廃墟になっているのだろうなあ。

さて茂原方面行きの列車が到着した。
この行川アイランド駅周辺は、民家は見られなかったのだが、トンネルを越えた先の大沢漁港あたりの方が、交通手段として使用しているのだと思われる。「2004年の乗車人員は1日平均約20人である」らしい。僕と一緒に3人ほど乗り込んだ。

 

駅前の国道の車通りも激しいし、秘境駅って感じではないな。珍駅の部類だろう。もっとひっそりとしたところにあって、荒廃も激しいと期待していたので、ちょっと残念であった。



当初の予定では、こりん星であることが最近判明して有名になった茂原市で宿泊して、明日の早朝からいすみ鉄道小湊鉄道と乗って行こうと思っていたのだが、天気予報を見ると、どうやら明日は小雨のようである。これは面白くない。東京から遠く離れたところなら、多少天気が悪くても気にしないのだが、来ようと思えばわりとすぐ来れる千葉なんだから、せっかくなら気分よく晴れている日に来たいものだ。
なので、今日はこのまま外房線でぐるっと東京まで回って、帰宅してしまうことにする。今回はいまいち消化不良であった。