Son of a BIT / 内原恭彦

Son of a BIT

Son of a BIT

webでの更新を非常に楽しみにしている作家。こうやって本という形態で手にとって見ると、ページをめくる手が意外にそれほど進まないことに気がついた。開いたページに見入らせる力のある写真群なのだけど、次のページを見たいという欲望がなぜだかそれほど湧かない。
webの"Son of a BIT"を見ているときの、1600*1200の画面でも入りきらないこともある写真を、次々にスクロール(だったりtab移動だったり)しているときの高揚感が、残念ながらこの写真集ではちょっと物足りない。webで毎日続々と更新される写真を見ているときのライブ感覚(以前に書いたことがあります)を、僕はすでに知ってしまっている上でこの写真集を開いているから、っていうのが大きいのかもしれない。あるいは単純に物量の差かもしれない。この写真集で初めてこの写真群を見た人は、ページをめくる手が止まらない状態でいるのかもしれない。そのあたり、以前に書いた、真島昌利の「夏のぬけがら」に対する感覚を思い出した。「既に知ってしまっている」ことによって、永久に失われてしまった感覚。