Fujifilm F800EXRレビュー

CanonのG12が故障し、修理に12000円ほどかかるとのことで、だったら20000円くらいで以下の条件を満たすカメラがないかと探した。

  • RAWで撮影でき、Lightroom4が対応している
  • マニュアル撮影モードがある
  • 広角側が28mm相当から始まっている
  • Wi-Fiスマホに送信することができる

予算と要求仕様を共に満たしているのが、このF800EXRだった。
この要求仕様のうち最後のWi-Fi対応が今回の新規追加点。スマホ(KYL21)のカメラにかなりの不満があるので、撮影した写真を即送信したい時、まともな画質で送れるようにしたいと思ったのだった。

画質について
RAW+JPEGモードしか使っていない。オートホワイトバランスがとても好み。大抵の場合、デフォルトで充分で、Lightroom上で多少緑かぶり補正をすることがあるくらいだった。これまで使ったことがあるすべてのデジカメの中で最もヒット率が高い。これにはかなり驚いた。
露出も普通の良くあるシチュエーションなら、何も補正しなくてもたいてい好みに合わせてくれる。
さてしかし、暗めのシチュエーションになると突然扱いづらくなる。無理やりに明るくしようとする。おそらく顔キレイナビを使っているとよりその傾向が強くなる。露出補正で-2EVしても効かないくらい。となると、マニュアルモードを普通だったら使うことになるが、、、

マニュアルモードについて
フジのコンパクトカメラは昔から、マニュアルモードでもリアルタイムに露出をプレビューできない。露出計はもちろん表示されてはいるが、撮影して見なければわからない。光学ファインダーのカメラなら仕方がないことなのだが、せっかくのデジカメなのに、なぜにこのような仕様にしているのかよくわからない。構図やピント確認のため?それにしたって、なにかボタン一発の操作で、実際の露出をプレビューできるべきである。
G12やA55でのリアルタイムプレビューのカメラの操作感覚にすっかり慣れ切っていたので、もう「撮って見なければわからない」という操作は堪え難い。
撮って見るのなんか別に対した手間じゃないじゃん、と思うかもしれないが、、、

書き込み速度について
RAW+JPEGでの撮影では、SDカードへの書き込み終了に数秒待たされる。もちろん書き込み中も撮影結果の表示はされるのだが、これが特に高感度にした条件の時などで、実際の撮影結果と大幅に異なることが多い。なのであてにならない。
JPEGモードの場合には特に気になるような書き込み速度ではない。RAWモードでは、遅いけどまだ耐えられる。しかしRAW+JPEGにするとけっこう遅い。
このカメラを選んだ理由、スマホへのWi-Fi送信をすることを考えると、+JPEGをしないのはとても勿体無いのに。

さらに、書き込み中に電源を切ると、書き込み終了までレンズが格納されない。非常に邪魔である。G12は電源を切ると、まずレンズを収納して、ディスプレイをオフにして、バックグラウンドで書き込みをするというシーケンスだった。どこをどうみてもこの方が合理的である。
このせいで、せっかくのコンパクトカメラなのに、レンズが引っ込むまでポケットにいれることができず、かなりイライラしてしまう。

レンズについて
換算25~500とすごい高倍率、なのに驚くほど焦点域で画質に変化が少ない。倍率色収差も歪曲も少ない。エンジンで補正してるのかな?と思っていたが、RAWを純正ではないLightroomで開いてもちゃんとしてる。これは驚いた。
焦点域的には旅行用途では困るようなことは全くなかった。しかし暗めのシチュエーションで200mmくらいになると、ピントが合わなくて困る。

ボディについて
この大きさでこの高倍率、この画質は凄い。G12だと入れるのに抵抗がある服のポケットでも、普通にスポンと入る。妙に丸っこいデザインは好みではないが、まあそれは人それぞれだからどうでもいい。
コンパクトの代償としてバリアングルモニタではない。これも一度慣れてしまうと無いのは非常に物足りない機能。

撮影機能について
フラッシュ撮影直後に自動で高感度に切り替えて自然光撮影するモードがたいへん便利。フラッシュを使うのは好みでないのだが、やっぱり保険として使ったバージョンも撮っておきたいことがある。それを自動でやってくれる。他のカメラでも採用して欲しい。

Wi-Fi転送について
専用のアプリをスマホにインストールして転送する。転送時に2Mの解像度に自動リサイズする機能がありがたい。接続も安定しているし、特に不満はない。できたら撮影したら片っ端から自動転送とかできないかな。スマホ、カメラ両方のバッテリ的に難しいかな。
使用頻度は高くないのだが、あって良かったと思う機能。他のカメラでもどんどん採用してもらいたい。


というわけでまとめると、シビアではない普通のシチュエーションで使う分には、たいへん扱いやすい。書き込み速度以外不満はない。RAWを使わないならまず不満は出ないだろう。
しかしRAWを使ってバシバシ撮る場合とか、照度がコロコロ変わるが露出は変えたくない場合などシビアなシチュエーションにはちょっと向かないかな、と思う。

なので今後の使用用途としては、普段の常時持ち歩き用に活躍することになるだろう。しかしちょっとシビアなシチュエーションになりそうな感じの時や、旅行の時は、G12かA55を選ぶことになるだろう。というのが結論。
というわけで現在G12を修理に出し中。