鉄子の旅

IKKIという月刊漫画誌に連載中の漫画なのだ。その漫画誌、存在は知っていたのだけど、立ち読みできる状態で本屋で置かれていたことが無かった(ような気がする)ので、いままで買ったことは無かった。
本屋でなんとなく立ち読みしはじめたところ、時を忘れて、1巻の2/3くらい読んでしまったので、こりゃあ面白いと、今出てる3巻までを一気に買ってしまった。

鉄道にキョーミのない女性マンガ家が、究極の鉄道好き(テツ)に日本全国連れ回される……!!
旅好きニヤニヤ、鉄道好き苦笑いの実録・珍道中マンガ!!
鉄子の旅 (1) (IKKI COMIX)

鉄子の旅 (1) (IKKI COMIX)

その「究極の鉄道好き」の横見浩彦氏があまりにもステキすぎて面白い。詳しくは漫画の作者の菊池直恵氏と担当カミムラさんとのインタビューを参照あれ。このインタビューでも書かれているように、紀行マンガというより、横見氏が完全に主人公になっとる。その思い切りも良し。
思い切りといえば、この3巻まで、一度も実際の風景が写真として掲載されていない。目的地が鉄道マニア以外にはイマイチ魅力のわからないポイント(その意識のギャップがまた笑える)だということもあるのだが、やっぱり「紀行」寄りに印象を振りたくないからなんだろう。
恐るべきことに、2巻を読み始めた頃にようやく、この漫画に写真がいっさい使われていないことに気がついたのだ。なんと眞鍋かをりがゲストで登場した回ですら写真が無い! たぶん本誌のグラビアとかでは写真を使ってたみたいなんだけど、単行本には収録されていない。この徹底振りにはかなり恐れ入ってしまった。写真が使われていないことに気づくのがこんなに遅れるほどに、漫画に夢中になってしまった。鉄道や旅行に興味が無い人でも、単純に漫画として楽しめると思います。

僕は鉄道および鉄道旅行のよさはわからないけど、常人にはいったいどこが面白いのかわからんところが好きでたまらないという点において、横見氏と菊池氏の中間の立場なのだ。ツーリングに出ても、観光地や名勝にはまず立ち寄らず、ひたすら山奥のクネクネした細い道を走って悦に入っているのだ。
鉄道に乗ること自体はあんまり興味ない。自分で運転できないというのはあまりにも退屈すぎる。たしかに車窓風景は魅力的だが1時間で飽きてしまう。
けれどもこの本で紹介されているような、山奥にポツンとある「周りには林しかない場所にある秘境駅」とか「462段の階段を昇って地上に出る、地下トンネル内にある駅」には、めちゃくちゃ魅力を感じてしまう。読んでいてもう辛抱たまらなくなってしまった。こりゃなんとかして僕も行きたいなあ。
さすがに最後まで全部を鉄道っていうのは僕には退屈すぎるので、途中(その路線の始発駅とか)までバイクか車で行って、そこから電車ってことになるだろうけど…はっ! そういうのもうやったことあるじゃん。アプト式鉄道に乗るために静岡の大井川まで行ったときがまさしくそれだわ。それのもっと強力版ってわけだな。

これを読んでいてなるほどと思ったのだが、鉄道好きといっても、駅好きだったり、列車好きだったり、切符好きだったりと、いろんな分類があるらしい。
バイクツーリングでも、僕みたいな山奥のクネクネ道好きだったり、開けたワインディング好きだったり、高速道路を大勢で流すのが好きだったり、いろいろあるからなあ。おなじようなものだろうな。