3/5 徳島県東祖谷山村〜愛媛県宇和島市

結局夕べは空調を入れずに網戸で寝たのだが、ちょうど良い気温で気持ちよく眠れた。朝に鳥の鳴く声で目が覚めた。


これは部屋から外を眺めたところ。
そういえば、天井のところについている、火災時用の換気窓には網戸が入っていなかったらしく、床にアブかなにかが数匹死んで落ちていた。この窓が開いていたら冷房の効率が落ちるだろうし、ほんとはデフォルトの状態で閉まっているべきものだろう。これだけがこの施設のマイナスポイントだった。



さて今日は四国カルストは必須で通過し、できるだけ西に移動することにしよう。
フロントが開く7:00にさっそく出発。R439を西に向かう。

この東祖谷山村の中心部、村役場のある辺りが、イイ感じのローカル感にあふれていてなかなか気に入ってしまった。

 

 

写真を撮っていると、40代くらいの男性に話しかけられた。バイクは持っているけれどしばらく乗れていないのでうらやましいとのこと。なんだか微妙に会話がちぐはぐになる。たぶん東京弁とこちらの言葉で、同じ言葉なんだけど違う意味をもっている物があって、それで話が食い違ったりしているんじゃないかという気がする。



ここで、宿泊した宿のパンフレットに書かれていた、R439より楽だというコース、県道32に移動する。
途中でかずら橋という、かずらで編まれた橋を渡れるところ(そのまんまだ)があるので、ついでに寄ってみようと思っていた。地図はこちら。しかし到着してみると、もろに観光名所ってノリなので性に合わない。

 

なにせこんな感じの、超大規模な「かずら橋イベント広場」などというものを建設しているくらいだ。
この祖谷渓は「秘境」を売りにしているらしく、「日本三大秘境のうちのひとつ」などと看板に書かれているのだが、こんなこれ見よがしな宣伝をする時点でもう「秘」の字もなくてシラケる。


 

R32に移って南下。北上すると「大歩危」と書いて「おおぼけ」と読む渓谷があるのだが、今回は残念ながらパス。「レストラン オオボケ」などと気の抜けるような名前の店が多くてなかなか笑える。


そんなわけで「大歩危駐在所」もあったのだが、駐在さんが大ボケとは、いかがなものであろうか。


R32からR439に戻るポイントがあるのだが、西に行くべきところを間違えて東に進んでしまった。地図ではあまりクネクネしてないはずの道なのに、なんか変だな、とは思いつつも、楽しいのでついつい熱中してしまっていた。
40分程も走って、工事中で時間制限で通行止めのポイントまで来て、ようやく間違えて剣山方向に行っていたことに気づき、引き返した。
この間違いで結局1時間あまり浪費してしまった。しかし山深い中、ポツポツと思い出したように現れる、数件の集落を繋いで走るのはなかなか楽しかった。
 

 



さて正しい方向であるR32方向に戻ると、こちらは道幅も広く、ハイペースで走れる。先程のミスを取り戻す。天気はあいかわらず晴れたり曇ったり雨が降ったり。

高知自動車道大豊ICのある辺りでR439に戻る。ここからは吉野川に国道が併走していく。

 

ここでは子供たちが川遊びをしていた。すっかり雨はやんで、カーッと日が照っているので気持ちがよさそうだ。
 



このあたりで、このような喫茶店を発見してしまったのだが、いいのだろうかこの看板。


たしかに「ロフト」って雰囲気である建物ではあるのだが…。



そろそろ腹が減って来たので、道の駅さめうらに入る。地図はこちら。こんどは当たりだといいなと思いつつ、ざるうどんを食べる。


そしたら驚いたことに、うどんをつゆに付けて食べると、リンゴの香りが鼻に入ってくる。自分の頭がどうにかなったのかと思った。なにか薬味に一工夫があるのかな、たとえばこの大根おろしは、じつはすりおろしリンゴだったりして…と思ったのだが、メンと薬味には何の不思議もなかった。
つゆをすすってみると、どことなくリンゴっぽい感じの味が舌に残るのだが、判然としない。けれどもうどんをつゆにつけて食べると、あからさまにリンゴの香りがする。これってこの地方の特色なのかな? 店のおばちゃんに聞こうと思ったが、おばちゃんたち同士、地元言葉(あまり理解できなかった)で会話していて、なかなか割り込んで聞き出せない気の弱い僕だった。



しばらくR439はハイペース走行。天気は晴れたり曇ったり雨が降ったりでコロコロ変わる。この辺りの川は、みな穏やかで鏡のような水面だが、吾北村の小川川(不思議な名前だが地図によると確かにこう書いてある)のあたりでは幸いによく晴れてくれた。地図でいうと多分この辺り。

  



仁淀村のあたりまできて、ようやく酷道らしい、狭いめちゃクネ道になる。ぽつりぽつりと点在する集落をつないでいくのだが、このあたりはなかなか僕好みの味わいがある。地図はこちら。

 

天気はどんよりとした曇りだったのだが蒸し暑い。やっぱり子供たちは川で遊んでいた。水がきれいなので、全然ためらわずに潜れる。

 



矢筈峠にたどり着いたら、分岐した方向に「←四万十川源流地点」との看板がある。源流ですか。これは興味深い。距離が示されてないのが気になるが、30分間で見つからなければ戻ることにして行ってみよう。


途中からグラベルになる。オンロードタイヤだがサスペンションストロークはあまりノーマルと変わってないので、なんとか普通に走れる。すると前に走っていたワンボックスに追いついてしまった。この車が遅いのなんの、15キロ以下で走っている。スピードが遅いとバイクはかえって不安定になってしまうので、一息いれて写真を撮り、距離が空いたら出発し、追いついたらまた一息…の繰り返しだ。

 

源流のすぐ目の前に駐車場があり、石碑もあった。水も汲んで飲めるのだが、家族連れが行列していたので面倒臭くなってやめた。できるだけ源流に近い方に登って写真を撮った。


ここから始まった小さな流れが、支流と寄り集まって海まで至ると考えると、感慨深い。

帰りは他に車もいなかったし、登りの方が多かったので(登りの方が簡単)来たときの半分位の時間で済んだ。それでも結局この寄り道で1時間ほどかかってしまった。



R439に戻る。矢筈峠を越えれば四国カルストは近くだ。しかし遠くを見ると、山の山頂には深く雲がかかっているのでいやな予感がした。


晴れの日のカルスト高原の写真を見て、ここ行ってみようと盛り上がっていたのだが、曇りじゃあな…。



とうとう到着した。地図はこちら。ところが曇りどころではなく、尾根を走る道なので、山を越えて行く雲の中にすっぽりと包まれていた。

 

視界は数10メートル。写真を見て夢見ていた風景とはまったく正反対だ。

高原には牧場があり、牛さんが黙々と草を食んでいる。高原がどのくらいの広さなのかはさっぱりわからない。

 

 

  

ゴツゴツした岩が際限なく広がっていく風景を見て、岩の隙間に寝転がってスカっとしたかったのだが、それどころではない状態だ。草を触ってみると、じっとりと濡れてしまっているし。

期待していたものとは違うが、まあこれはこれで面白い風景と言えなくもないが…。ちょっと残念だ。

ところで、この高原の入口には国民宿舎 天狗荘というのがあり、乾電池を買うのとトイレを借りるために入ってみたのだが、なんとこの建物は、県境をまたいで建っているというのだ。どれどれ。


あっ本当だ。公式ページを見る分には、高知県側が運営しているっぽいが。



地芳峠でR440に移り南下。大きな高低差を気分よくクネクネ下って行く。下る毎に視界が開けて行く。
梼原でR197に移り西に向かう。

ところで、これはこの辺りにあったトンネルなのだが

 

トンネル内 注意」という看板が掲げられていて、まあそれはよいのだが、なぜか能面の女性が、怪しげなポーズをとって注意を呼びかけている。薄暗くなってきた時間帯でもあり、正直ビビりましたよ! トンネルの入口よりも、この能面看板のほうが気になって仕方がありませんでした!

広くて交通量の少ない道なので、ハイペースで走れる。予定外の寄り道が2時間分もあり、そろそろ暗くなってきたので助かる。
日吉村でR320に移り本格的に宇和島に向かう。どんどん暗くなって行く。ペースは相変わらず快調だが、朝から12時間以上も走っているので、そろそろ疲れてきた。



愛媛県に入り、広見川沿いに宇和島市を目指す。もうペンライトを使わないと地図を見るのが難しくなるくらいの暗さだ。
鯉のぼりが川をまたいで垂れ下がっていた。場所は多分この辺り?

 

どうやらこの川沿いに駅伝大会があって、この鯉のぼりのところがスタートだかゴールだか、そんなポイントになってるらしい。
ところでこの辺りは鬼北町というのだが、僕が持っていった6年前の地図では「広見町」となっていた。今年版の四国のツーリングマップルをわざわざ買ったのに、フェリーの中で荷物をといて地図を開いてみたら、なぜか6年前に剣山スーパー林道を走りに来たとき買った版の地図がタンクバッグの中に入っていた。不覚だ。そんなわけで、けっこう当時から地名が異なっているところもあり、道に迷いそうになることもしばしばだった。



そして宇和島市街に入る。このまま港に向かい、ひとまず四国横断を終えよう。
途中で宿や郷土料理店等を確認しつつ、すでに真っ暗になってしまったが宇和島港で写真を撮る。


残念ながら陽はすっかり暮れてしまったが、何とか無事に横断成功だ。



目をつけていた宿を確保し、近くの郷土料理店に入る。しかし入ってメニューを見ると、ファミレスと居酒屋をミックスしたような店だ。
失敗したかな…と思いつつ僕がオーダーしたのは、「さつま」という郷土料理と、宇和島産のアジ刺と、芋焼酎のお湯割りだ。もう見るからに旅行者のセレクトですね。
この「さつま」っていうのは、魚と山芋のすり身(と説明された気がするがうろ覚え。あとで調べます)に、ネギやミカンの皮を摺った薬味を入れ、麦飯にかけて食うものだ。麦とろの「とろろ」が変化したイメージですね。
これがうまかった。単なるとろろとまた違った味わいがある。香りの強い蕎麦と一緒に食ってもうまいんじゃないかな?微妙かな?つゆとの相性に大きく依存するかな?
アジ刺も今まで食ったなかではベストなくらいうまかったが、650円で8切れってちょっとどうなの。もうちょっとなんとかならないかね。
まだ腹に余裕があるので、追加注文したかったが、あいにくラストオーダーがおわっていた。ちょっといやな予感がしたがうれしい誤算でした。

さて明日はどうしよう。高速道路で徳島まで行き、夜出港のフェリーに乗るつもりなんだが、それだけだと時間に余裕があり過ぎるし。2日かけて行った横断が、高速だと半日かからず終わってしまうかも…。
佐田岬まで行って、さらに横断に箔をつけるか、これも写真を見て行ってみたかった四万十川沿いにするか…両方はちょっとリスキーだな。