Jason Mraz / Mr. A-Z
もう10年近くも、最新の音楽シーンを積極的に追っかけることがあまりなくなってしまった駄目な僕なのだが、先週末に試聴コーナーで聴いて気に入って買った2枚は、どちらもなかなかよかった。
- アーティスト: Jason Mraz
- 出版社/メーカー: Elektra / Wea
- 発売日: 2005/07/26
- メディア: CD
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60~70年代王道ポップス直系の、美しい、隙のないメロディをベースに、滑らかでかつタイム感見事で、ほんのりソウルフルなボーカルがのっかる。いろんなスタイルを幅広く取り入れていて、Housemartins系の80年代後半ネオアコイメージっぽかったり、Ben Folds Fiveっぽかったり、G-Funkと呼ばれていたころのSnoop Doggy Doggっぽいところもやってたり。マイケルジャクソンのものまねっぽいことまでやってるのは笑った。
そんなわけで、70年代生まれで、20歳代に音楽をいろいろ聴いていた人にとっては、既視感バリバリなのではないかな。
この既視感バリバリっぷりは、ほんのりと古めかしく(=僕にとっては「懐かしく」)感じられる音作りからももたらされている。ウェットめなリバーブやディレイだったり、ちょっとドラマチックに展開しすぎな感じだったり。
と思ったら、このアルバムのプロデュースは、70年代生まれにとっては懐かしの、スティーブ・リリーホワイトであった。
乱暴に言えば、60~70年代王道感覚を、うまく現代的にまとめなおしてリバイバルさせてるって感じなんだが、ノスタルジーだけでは終わらない説得力がある。
いろんな音楽を聴いてきて、それが自然に当然にミクスチャーされてる感じ。肩肘張ってイデオロギーとして「ミクスチャーするぞ!」っていう90年代前半ノリはもうとっくに過去だ。自分の意識の中でミクスチャーされてるのはあまりにも当たり前のことで、そもそもの発想がミクスチャー状態を前提としているので、わざわざ意識して目的とすることではない。のではないか。
隙のないメロディと、統一感のあるプロデュースと、伸びやかなボーカルスタイルがしっかり確立されてブレがなくて説得力絶大なので、そのミクスチャーぶりがまったくわざとらしくない。どんなスタイルを取り入れても芯がブレない。
この統一感あるプロデュースは見事だと思うのだが、もしかしたらちょっとデコレーション多すぎ? 僕の好みで言えば、もうちょっとソリッドでドライでストレートな路線のものを聴いてみたい気もした。他の音源もさっそく聴いてみるつもり。
なにせ声が好みだ。ちょっと鼻が詰まった感じなのにきれいに伸びる声、ウィスパーからファルセットまで滑らかに遷移する声…。なにせ声だけでご飯一杯食えちゃう感じなので、よほどのことがなければハズレないだろう。いままで知らないで損した。
ファルセット+スティーブ・リリーホワイトで思い出したのだが、モリッシーがよくやっていた、ファルセットのロング・トーンをクレッシェンドさせつつリバース・リバーブをかける手法も、このアルバムでやっております。僕にとっては懐かし感が強い(ちょっと苦笑した)んだが、非常にマッチしていて印象的でした。
買ったもう一枚の、カイル・リアブコも好印象だったんだが、これはまた別の機会に。