Before I Speak / Kyle Riabko

こちらも試聴コーナーで聴いて気に入って買った一枚。

Before I Speak

Before I Speak

こちらで試聴ができます。

いかにも現代の音楽らしく、70年代以前のブルースやソウルやファンクがベースにあるものの、明らかに音の質感とか組み立てはヒップホップを通過した後の時代のものだ。特にハイハットの扱い方。このバランスがなかなか心地よい。

スリーブを見たとき、なんだかWGPの125ccクラスのルーキーにいそうな感じのツラした奴だな、と思ったのだが、それもそのはず、まだ17歳とのことだ。
さすがにこのクオリティで17歳っていうのはスゴイ驚きで、いま検索したら年齢に触れていないレビューは皆無なくらいだった。
しかも僕が買ったのは輸入版なので詳しいことはわからないが、ギターのみならず、ベースもドラムも鍵盤もやってる(すべての曲ではない)マルチプレイヤーらしい。

僕にとっての驚きは、この年齢でこの作曲・演奏能力…ということよりむしろ、若さゆえの無理な背伸び感がちっとも感じられないことのほうだ。自分を自分以上に大きく見せようとしていない。かといって老成を気取っているわけでもない。自分が早熟であることにたぶん自覚はあるんだろうが、それを自ら売りにしている気配が感じられない。音はへんな意図に捻じ曲げられたりせず、発せられたそのまま僕の耳まで到達してくる。
とはいっても、無理な背伸びが必ずしも、ネガティブな印象のみを与えるというわけではないのだけどね。若者が自分を何とか無理して大きく見せようとして、一生懸命背伸びしている、その張り詰めたふくらはぎの緊張感が魅力につながるっていうのは、よくあることだし。

ただなんというか、ちょっと物足りない印象をどうしても僕は感じてしまう。うまくまとまりすぎているのかな。ビッ!と締まったテンションは充分感じるんだけど、ピーン!と張り詰める瞬間を余り感じない。バランスが崩れる直前・直後の危うい緊張感に僕はしびれるものなんだけど、どうも最後まで、ビッ!と締まったまんま終わっちゃう感じ。

最終曲(輸入版での)が終わったあと、数10分の空白があって、隠しトラックとして存在する、ジャクソン・ブラウンジョン・レノン風な曲が一番好き。なんだが早送りするのが面倒くさい…携帯音楽プレイヤーなどで聴く人は、別トラックとして忘れずに切り分けましょう。
今調べたら、たぶん国内盤の16曲目です。

さきほど試聴できるところを検索したところ、moraのこのページがヒットしたのだが
http://mora.jp/artist/80307744/71004057/
ジャンルが「フォーク/SSW/カントリー」っていかがなものか?
SSWって、シンガー・ソング・ライターのことね。
すくなくとも「フォーク」「カントリー」を期待している人のお望みは叶えられないと思うんだが。