千葉県 小湊鉄道〜いすみ鉄道

またどこかに出かけたいなあと思っていたのだが、なんとなくボーッとしていたいなあとも思ってもいて、その両方の要求を満たすには、バイクでも車でもなく鉄道で出かけるのがベストであろうと結論付けた。
バイクや車では、千葉県って微妙にアクセスしづらいところなので、4年前に1回しか足を運んだことがない。なのでどうせ電車に乗るなら千葉県に行こうと考えた。
地図を見てみたところ、小湊鉄道というローカル線が、いつもだったらバイクで走りたくなるようなコースを走るようなのでここに決めた。
検索したらすぐに公式サイトがヒットしたのだが、

http://www1.odn.ne.jp/kominatotetsudou/

それは見ないで、時刻表以外の前情報は一切無しで行くことに決めた。

まずは中央線>京葉線内房線と乗り継いで、出発点の五井まで移動。ここまでは実に退屈な電車乗りだ。
小湊鉄道のホームに移動すると、やはりだいたい想像していたとおり、2両編成のディーゼル車?だった。


クリックするとでかい画像が開きます。
窓が締め切られているということは、冷房はあるんだな…。ドアは締められているが、中に人がいる。あれ? 八高線みたいにドア開閉ボタンがあるのかな…いやない。取っ手があるわけでもないし…どうやって入るのかなと思ったら、他の乗客が、完全に締め切られていないドアに手を突っ込んで開けていた。豪快だな。


冷房はあまり強くないようで嬉しい。今の季節、弱冷房車以外に乗ると体調を崩して困る。冷房は効いているようだが、頭上で扇風機は回っている。そういえば語彙に来るまでの内房線にも扇風機がついていて、ちょっと驚いたのだった。

さて出発すると、しばらくは郊外の住宅地と田んぼが交互に現れてくる。だいたい地図で見て想像していた通りの感じだ。駅はほとんど無人駅で、降りると女性の車掌さんが切符を受け取りに来る。
非常に残念なのは、窓が埃でたいへん汚れていて、外がきれいに見られなかった。冷房が一応入っているようだから、窓を開けることもできないし、残念だ。

上総久保あたりから、田んぼの比率が多くなってくる。田んぼの収穫したあとを焼いていて、たいへんに煙い。いちおう窓は締め切られているんだけど、隙間から匂いが入ってくる。煙に弱い僕は頭が痛くなってきてしまった。そうか、この窓の汚れって、この煤なのか。
車掌さんは慣れたもので、タオルで鼻と口を押さえていた。




当初から、イイ感じの駅があったらそこで途中下車しようと思っていて、時間にも余裕をとっていたのだが、あまりにもイイ感じすぎる飯給という駅に着いた。飯給と書いて「いたぶ」と読みます。もうここで降りるしかない!

 

いままでも無人駅や、木造の駅舎も当たり前のようにあったのだけど、この物置小屋みたいな駅舎のインパクトは絶大だった。

 

そして僕を置いて列車は発車し、木々のトンネルの間に姿を消して行きます。次の列車は1時間半後です。かなり感動したので、この駅の写真をいろいろ撮ろうとは思っていたのだが、さすがに1時間半は手持ち無沙汰すぎる。地図を見ると、次の月崎駅までは4kmもなさそうだったので、そこまで徒歩で移動することに決めた。

さて、この飯給駅の駅舎の様子です。

 

窓は閉められるのだけど、ドアというものが無いから、風が吹いたら駅の中を通り抜けていきますね。

さきほど列車が抜けていった木々のトンネルを、桜(?)の葉の下から見てみます。


春には、なかなか絵になる風景になるんじゃないかなあ。

駅を離れて振り返ると、これがまたどう見ても駅には見えない。農作業の小屋にしか見えない。


道路にも、駅の在処を示す看板が全然無かったのには驚いた。いちおう、駅へと向かう交差点が、駅名と同じ「飯給」ではあるのだけど、それ以外には全くインフォメーションが無い。仮にこの交差点を見て、駅名と同じだからここを曲がればいいんだなと予測しても、普通の駅舎を先入観として持って探していたら、この駅は農作業の小屋にしか見えず、見過ごしちゃうんじゃないだろうか。

いまこの小湊鉄道の公式ページを見てみたら、「今月の表紙」がまさしくその飯給駅だった。
http://www1.odn.ne.jp/kominatotetsudou/train/index.html
月が変わったら差し替えられてしまうと思うので、直リンも張っておきます。大丈夫だよね。
http://www1.odn.ne.jp/kominatotetsudou/train/35703.jpg
この写真は、駅前に広がっていた田んぼのほうから写したものだろうな。農作業をしていたので、僕はあきらめたアングルだ。こちらから見ると、少しは普通に駅っぽく見えますね。




さて月崎駅まで、てくてくと歩いていく。やっぱり田んぼを焼いていて煙い。


ツーリングライダーはしょっちゅう見かけるのだけど、いかにも地元民で無い歩行者は、完全に僕しかいない。なので農作業しているところを通り過ぎると、じーっと見つめられたりしてしまう。

 

徒歩だからいつもと感覚が異なっているのかもしれないが、ツーリングコースとしては、中途半端に住宅地が混じっている感じで、なんとなく魅力を感じないかも。標識も不親切だし。
次の月崎駅に向かうはずの交差点に至っても、やはり駅の在処を示す表示は何にもなし。駅を通り過ぎた先の「市民の森」というのが表示されていたので、なんとか駅に向かう道であることに確信がもてたくらいだ。



踏切を越えたから駅に近づいているのは確実なんだけど、だんだん辺鄙な方面に入っていっているようで、ほんとにこっちでいいのかな…あと電車が来るまで10分くらいしか余裕が無いよ、大丈夫かな…と不安になっていたところで、突然に月崎駅が現れた。


ここは普通の駅っぽいですね。普通の駅舎だし、自販機はあるし、駐車スペースもあるし、駅の前にはデイリーヤマザキがあるし。
やはり無人駅で、内部はこんな感じ。ところどころクモが巣を作ってます。

 

なぜか「りぼん」が山積みになっていて、さらにスケッチブックらしきものまでおいてあった。

電車が到着する5分前になったら、駅前に駐車していた車から3人組が出てきた。カメラマンがギターを背負った若者2人(ゆず以降わらわらと似たようなのが出現したアレ系な雰囲気)に「もう3歩前に出てくれる?」などと注文を出している。こんなところでロケでもしてるの? どういう狙いで撮影しているのかよくわからないが…。


列車が来て撮影終了したところ。もちろんこの3人は乗りませんでした。

ここからは木々のトンネルをひたすらに抜けていく路線になります。もっと明るければなかなか気分が良かったろうに。一番前の席を確保できたので、子供のように張り付いて見てます。





終点の上総中野に到着。
小湊鉄道に乗っている間、本も読まず、居眠りもせず、退屈もせず、ただただボーッと外を眺めていたことしか記憶が無い。当初の目的は達せられたわけだ。

ここからは、いすみ鉄道というローカル線に乗り換えて、外房線の大原まで向かいます。これで房総半島を横断したことになるわけだ。
いすみ鉄道の公式サイトはこちら。
http://www.isumirail.co.jp/

 

このいすみ鉄道は一両編成で、バスにタイヤじゃなくて車輪がついて、レールの上を走ってるって感じです。ディーゼル車だし整理券システムだし。


残念ながらもうかなり暗くなってしまって、周りの状況がさっぱりわからなくなってしまった。ついこの間まで7時を過ぎても、それなりに明るかったと思ったのだが。油断してしまった。
いま公式ページを見てみたら、たいへんローカル感のある雰囲気のいいところですね。これは惜しいことをした。明るいうちにもう一度来てみたいな。

各駅舎には「○○小学校生徒の作品です」などと書かれた、ドラえもんとかアンパンマンとかの看板がしょっちゅう見受けられた。いいのか?

大多喜で、それまで僕とおばさん2人しかいなかった車内に、男子校生(汗臭い)と女子高生が、どやどやと入り込んできた。男子が女子の前を通り過ぎてゴミ箱になにか捨てに来ると(車内にゴミ箱がある)、女子3人組の一人が一人をつついて合図していたりして、青春の1ページって感じだ。

大原についたら、港まで行こうかなと考えていたのだが、この頃にはもうすっかり暗くなってしまったので、イマイチ興が乗らず、そのまま外房線京葉線>中央線で来るとき以上に退屈な数時間を過ごしつつ帰宅してしまった。