近づく / 津田直

今月号のスタジオボイスの表紙の、何色って言ったらいいんだろう、ビアンキの自転車のチェレステブルーっぽい色の水面の湖の写真がとても印象的だったので、目次を見てその撮影者の写真集をさっそく買ってきた。

http://www.skky.info/itohen/books/tikazuku.html

ずいぶんと小さな写真集だ。ハガキより数センチ大きいくらい。印刷されている写真もこれまた小さい。サービスサイズのプリント位? その代わり、カラーの印刷はプリントかと思ってしまうほど高精細だ。
ページをめくっていくと、モノクロ印刷になる。やっぱり高精細なんだが、紙質がザラザラしているので、グラデーションがディザリングされているように見えてしまう。
それにしても小さい写真だ。あきらかにわざわざ小さく印刷されているページも多い。ベタ焼きサイズが1ページに2枚とか。
見れば見るほど、これが大きく印刷されていれば、さぞかし印象深い写真なんだろうなあ、という思いが深まるばかりだ。

どのような意図や意志をもって、このような写真集に仕立てたのかは僕には分からない。写真を見せようというより、写真の見せ方を見せよう、世に問おうとしてるんだろうか。
オリジナルのプリントを見たことがある人にとっては、あの写真をこういう見せ方をさせるもアリなのね、と思うのかも知れないが、この写真集で初めて見る僕にとっては、写真そのものの魅力よりも、見せ方を見せる意図や意志が鼻について、しかもその意図や意志が全く理解できないので、ただただ戸惑うばかりなのだ。
もしかしたらその意図や意志は、この写真集からたいへん雄弁に語られているのかもしれないが、僕にとってはラテン語で語られているようなもので、ひと単語も理解できず、ちんぷんかんぷんなのであった。