長年にわたる「ダイエースプレー」の謎が解けた

髪カッチカチ! 「ダイエースプレー」最強伝説

僕が高校生のころは、軽音楽部の部員=BOØWYBUCK-TICKコピーバンドって感じだったのだが、彼らは文化祭になると、やはり気合を入れて、あんな感じに髪をツンツンに立てていたものだった。
いったいどうやってそんな髪にできるんだよ! なかに針金でも入れてるのか? と問うてみたところ、
ダイエースプレーで立てるんだよ! 高いけどな」
と言われ、ビジュアル系を目指しているらしき彼の口から出た「ダイエースプレー」という、少々間の抜けた語感とのギャップに吹き出してしまい、たいへん印象に残っていたのだ。
それ以来、ダイエーに行く度に、ダイエースプレーの実物を見たいと探していたのだが、まったく見つからなかった。ダイエーのあのマークがついているスプレー缶を想定して探してしまっていたのだ。
ところがこの記事によると「ダイエースプレー」は単なる通称で「正式な商品名は「エレーヌ ヘアスプレー」」らしい。道理で見つからなかったわけだ。これで胸のつかえが一つ取れた。

もうひとつ胸にひっかかっていることがある。
上記のように、軽音楽部の人たちとダイエースプレー談義に花を咲かせていたところ、
ダイエースプレーは高いよ。俺、黒薔薇使ってるよ。安くていいよ」
との発言があり、その「黒バラ」という、いかにもおばさん化粧品チックなネーミングに、「黒薔薇なんて聞いたこともないよ!」と皆で爆笑してしまった。
実に絶妙なネーミングだ。「ヘアスプレー 黒薔薇」。「ダイエースプレー」より、さらにビジュアル志向とのミスマッチ感が激しい。
もちろん彼のアダ名は「黒薔薇」になったのだが、意外にも「黒薔薇」がツボに入ったのは僕くらいだったようで、黒薔薇ブームは2、3日で廃れてしまった。
それがちょっと悔しくて、黒薔薇スプレーもダイエースプレーと共に探していたのだが、こちらのほうは存在自体、誰にも知られていないようだった。
もしかしたら黒薔薇スプレーという存在自体、彼の捏造だったのかもしれない。
しかし捏造だとしたら、このネーミングセンスは賞賛に値するなあ。