ニュー・ワールド

1時間半かけて出勤しに行ったら、ビル内のキーボックスが工事中で入れなかった。今日にキリをつけて日曜は休もうと思っていたのに…。そんなわけで、今日を2ヶ月ぶりの休日にして、ポカっと空いた時間に映画を見ることにした。
立ち寄った映画館で、一番待ち時間が短かった「ニュー・ワールド」というのを見ることにした。それはいいのだが、どんな映画なのか完璧に予備知識なし。映画館内にポスターすら貼られていなかったし…。タイトルからして、宇宙殖民ものかな、などと思いつつチケットを買った。
ところがこれが、殖民は殖民でも、宇宙の殖民ではなく、17世紀初頭のアメリカ殖民の話であった。公式サイトはこちら。

http://www.thenewworld.jp/

以下ネタバレです。
見終わった後「なるほど、どんなお話なのかはわかったよ。で、本編はまだ?」みたいな。TVの大河ドラマ1年分を、2時間にダイジェストした映画版って印象。長大な予告編を見た感じ。あらかじめお話を知っている人に向けて作られた感じ。ダイジェストでおいしいところはクリッピングしたから、あとは各自で補完お願いね、と言われている感じ。スカスカ。お話のあらすじが提示されていて、そこでストップしてしまっている。

物理的にも感情的にも、時間の経過が僕には伝わってこない。最後まで見ても、結局のところ何年間を描いた映画なのかちっともわからなかった。一番まずいのは感情の変化が演技から全く伝わってこないことだった。脚本ではスミスや王女ポカホンタスの心情にさまざまな変化があるということになってはいるのだが、演技的には徹頭徹尾変化なし。ポカホンタス役の女優が、母親になっても、ちっとも母親の顔をしてないので、ものすごい違和感。
いま公式サイトの「映画の背景」コンテンツを見ていたところ、1607年から1617年までの、なんと10年間であった。せいぜい2年間くらいだと思ってた。

と、ポカホンタスという名前に聞き覚えがあったので、ググってみると、実在の人物で、建国神話のひとつにもなっていて、ディズニーのアニメにもなっているのだった。不覚にも僕は全く知らなかったが。ああやっぱり、という感じだ。アニメとかで既に知っている人にとっては、あのお話が実写になってうれしい、という感じで、アニメ版を元に各自お好みに合わせて印象を補完して楽しめるのかもしれない。まったく先入観の無い僕にとっては、ほんとにスカスカな映画だったが。

それにしてもポカホンタス、人質として連れてこられて、スミスとの別れの後に、名前を捨てて洗礼を受けて、英国衣装で女王に謁見したわけなんだが、このあたりのくだりが何の葛藤も無くあっけらかんと描かれているところに、キリスト教徒の西欧人的なセンスが現れていて、イヤだなあと思った。
入植者たちも、自らの意思で入植した集団の割には、いくらなんでも賢く無さすぎというかなんというか、非現実的なほどすべてにおいて無計画すぎてあきれてしまったというか、映画のスカスカっぷりをより強調していたというか。