鳥取〜但馬御火浦〜福知山

夕べは珍しく寝つきが良く、もっと早起きしたかったが、8:50に鳥取を出発。
今日はまず、日本海の海岸をいろいろ巡ってみる。まずは浦富海岸>居組海岸に向かう。道路からは、海や密集した漁村が良く見渡せる。絵に描いたような、岩や松や砂浜が現れる。

 

 

密集した漁村の家々を見ていると、そういえばこの間買った尾仲浩二の"GRASSHOPPER"という写真集で、こんなシチュエーションあったな、と思った。この世とあの世の狭間を写しているような、独特な色調が印象深かった。


なのであの色調を真似てRAW現像してみた。天気が曇っているか、雲があればそれっぽくなりそうなんだけど。



浜坂からは、国道178は海岸を離れ、不規則な形の田畑の連続する農村に入ってくる。
途中で国道178を離れ、但馬御火浦に向かう。ツーリングマップルに書いてあるとおり「断崖の上を走る道。急カーブ連続」だ。

 

 

海が良く見渡せるし、海が見えなくなると一気に山奥感覚だし、運転は実に楽しい。
車がすれ違うのもかなり難しい狭さなのに、ガードレールが無いのも当たり前。バイクならオススメだが、車では避けたほうが良いだろう。落石も多かった。

 

途中で、道を間違えたのか、漁村の真っ只中を通過する羽目に陥った。狭い急斜面の路地を上り下りする。港にぴったり面したところに小学校がある。


この道の終点に来て、一休みして振り返ったところ、なんと「この先通り抜け出来ません」看板が立っていた。浜坂側には何にもそのような案内は無かったのだけど。



国道178に戻ったところ、巨大な鉄橋が道路を横断していた。地図を見ると山陰本線の鉄橋らしい。


カメラを持っている人が大量にいたから、鉄道好きには有名なところなのかな…と思っていたところ、駅の方向を示す案内が見つかった。


駅がすぐ近くにあるというなら、あの頭上高くにある鉄橋は鉄道じゃないの? いったいなにがどうなってるの? と思ったのだが、案内看板を読んでみたら、なんとあの高さに餘部駅(どうやら正式名称は余部駅ではなく、「餘部」駅らしい)はあるというのだ。

 

  

つづら折を延々と上り、駅へと向かう。海と家々を遥かに見下ろす高さに余部駅のホームがあった。

 

案内看板を読んだところ、鉄橋自体は明治45年には既にあったのだが、余部駅が出来たのはようやく昭和34年になってからだったそうだ。それまでは「余部の人々は香住・浜坂方面に行くために余部鉄橋を渡り、4つのトンネルを抜けて鎧駅まで歩いていかねばなりませんでした」らしい。鉄橋の付け根に後付で新設した駅ということらしい。

 

地図で見ると、その鎧駅までは道路では5km以上ある。鉄橋を歩いて渡っても2kmくらい。ていうかこの高さの鉄橋を歩いて渡るってすごいな。高所恐怖症でない僕でもびびる。



柴山海水浴場のあたりにきたら、カヌーの大会らしきものが行われていた。

 

 

カヌーいいね。無人島などにカヌーに乗っていけたら楽しいだろうなあ。海無し県の盆地育ちなので実に憧れる。
いま検索してみたところ、どうもちょうどこの日、9月30日から始まった国体の、カヌーマラソンという競技らしかった。
こののじぎく兵庫国体では、デモンストレーションスポーツ競技という扱いになっているらしい。
http://www.habatan2006.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=59
上記リンクを見て驚いたのだが、聞いたことも無いようなスポーツが面白かった。「囲碁ボール」とか。



佐津駅のあたりで県道11に移る。途中に、どこをどうしたらそんなにうまく挟まったのかよくわからない、不思議な岩場があった。

 

さて、ツーリングマップルによると、この先の竹野海岸に、竹野温泉北前館という、海辺の立ち寄り温泉があるらしいのだ。かなり汗もかいたし、この辺でスッキリしたい。
この温泉の前の砂浜は白くてとてもきれいだった。ごみもほとんど落ちていなくて立派だ。エメラルドグリーンの海が美しい。

 

この温泉は、露天ではないのだが、海辺なだけあって窓からはその美しい海岸が見渡せる…はずなのだが、湯気で窓が曇っていて、ぼんやりしていてがっかり。お湯にも特に特徴なし。
朝にパンを食べたきり、いままでなんとなく腹が減らなくて、ここに来るまでに蟹料理の店の脇を何度も通り過ぎても食欲がわかなかったのだが、温泉に入ったら急に腹が減った。食堂に行ってみるが、ぜんぜん御当地感の無いメニューが多くてがっかり…さきほどまであれだけ、蟹・カニ・かに、としつこく看板がでまくっていたから、温泉の食堂でもそんなのがあるのではないかと期待していたのだ。ひとまずイカ丼を頼んだ。普通の味だった。



次は天橋立に行くつもりだったのだが、地図を見ていたら、出石町というところでは「皿そばの店が軒を連ね」ているらしい。この辺でも蕎麦の名産地があったのか。予定変更してさっそく向かうことにする。
県道1に移って南下。豊岡の市街地を避け、但馬空港を経由して出石町に向かう。空港があるようなところなら、視界は開けているだろうし、案内看板も多いだろうから道に迷わないだろうと予測したのだ。

出石町に入って、目に入った2軒目の蕎麦屋に入ろうと決めていて、それが国道からちょっと離れたところにある。「出石城」という店だった。


皿蕎麦と聞いて、ざるのかわりに皿が使われていて、水分はあえて切らずに置いている、あのスタイルかな…と思ったのだが、この地方では小さい五皿に分けられて提供されるのだった。


デフォルトでとろろと鶏卵がついてくる。うずらではなく、鶏卵である。まずはとろろ抜き。つゆは色は濃いのだが、味はやっぱり、あっさりめの関西テイスト。昨年、四国に行って食べた蕎麦と同じ、関東ではあまりなじみの無い後味が残る。それはわかるのだが、何の味なのかはわからない。
3皿目からとろろを入れる。このつゆと相性が良い。関東の濃い味のつゆでのとろろ蕎麦って、それほど好きじゃないっていうか、とろろはいらんから普通に食わせてよと思ったりするのだが、こちらでは相性が良い印象。4皿目から卵を入れる。さすがに鶏卵なのでボリュームたっぷりすぎる。なのだがこれはこれでなかなかうまい。
蕎麦自体はあまり癖が無い感じ。かといって東京の洗練されすぎてもいない。僕は癖の強いのが好きなのだが、これはこれでつゆとマッチしていて好きだ。
蕎麦湯で割ると、卵が多いので、なんだかスープみたいになってしまった。でもそれもなかなか味わいがある。
さっきの烏賊丼を食っていなければ、もう一軒どこかに行きたかったのだがなあ。もったいないことをした。もう腹がいっぱいだ。



出石を出てからの国道426は実に良く流れている。土手みたいな感じで一段高いところを走っている道なので、眺めも良く気分がいい。
この分なら、天橋立にやっぱり行ってもいいかもな、と思い返し、国道482>県道2と移り天橋立に向かう。やっぱりこのコースも気分良く走れる。今日走った道は、どれもこれも当たりだな、と嬉しくなった。

のだが、天橋立近くになると急に混雑し始める。標識も微妙にわからない。地図と標識のどちらを信じたらいいのかわからなくなる。
天橋立に着いたはいいが、ものすごく観光地然としている。駐車場は全て有料だし。もとより天橋立の中に入るつもりは無くて、遠くから夕暮れの中、撮影しようと思っていたので、まあいいやと思うのだが、なんだか気分が悪い感じ。
標高の高い見下ろせるポイントに行こうと思ったのだが、その道の入口がさっぱりわからない。どんどん暗くなるし、だんだんイライラしてくる。途中でもうすっかりイヤになってしまった。


一応、湾岸から撮影してみるが、天橋立もなにもさっぱりわからない有様だ。やっぱり上から見下ろさないとわからんね。



天橋立から京都縦貫自動車道に乗り、高速道路で一気に距離を稼ごうと計画した。20:00頃まで高速に乗り、そのあたりで近い都市に下りて、宿を取ろうと思ったのだ。
しかし走り出したら、ずいぶん寒い。次にパーキングエリアがあったら、止まって服を着込もう…と思っていたのだが、全然ない。寒さに耐え切れなくなり、結局のところ福知山で降りて、19:10、宿を取ってしまった。こんなことなら天橋立に行かなければ良かったよ。

あまり腹が減ってないので、軽く何か食べたいな…と思っていたところ、たこ焼き屋を発見した。というか、このたこ焼きやとラーメン屋とミスドくらいしか、駅前で営業している食べ物屋は無かったのだ。
たこ焼きは、柔らかいのは関西流(というかいまどき全国そうなっちゃったようだが)、だがちょっと小さめ、特徴があるのは、刻み葱をたっぷりとトッピングしている。


たこ焼きにネギは想像したこと無かったな!と思ったのだが、案外いけました。小さめの10個で300円っていうのも安い。