MotoGP第16戦ポルトガル(ネタバレ)

まさしく映画みたいな展開になってきてしまった。
あと2戦を残し、ポイントをギリギリな感じでリードしていたニッキーに、チームメイトのペドロサが、ズサーッっと突っ込んでビリヤード状態。

・Pedrosa wipes out team-mate, title leader Hayden!

"wipes out"って、辞書で引いたら「wipe out 全滅, 絶滅, 壊滅; 〔米話〕 (スポーツでの)決定的敗北」という意味らしい
ところで、RSSリーダに残っていた履歴によると、この記事が最初に配信されたときには"Pedrosa takes out Hayden! "というタイトルだったようで、あとでより過激に書き直されたようだ。
そんな感じで、よりにもよって、チームメイトのペドロサの無理な突込みによって、ニッキーのタイトル獲得は、かなり難しい事態に陥ってしまった。
しかも、ペドロサって「若さに似合わず冷静沈着なクールガイで、ロボットみたいな奴」…みたいなキャラだというイメージが定着していたので、より驚きが大きい。こんな無茶をする人だったのか。

同記事中でも、最大級の表現でペドロサを非難している。

Dani Pedrosa has made one of the biggest mistakes ever seen in modern motorcycle grand prix racing - smashing into team-mate Nicky Hayden early in the Portuguese Grand Prix and destroying the American's world championship lead.
まさに"biggest mistakes"で、ニッキーのチャンピオンシップを"destroying"してしまった。
幸い二人とも怪我は無かったようで、すぐ立ち上がって歩き出したのだが、ニッキーは烈火のごとく怒り狂っていた。赤外線モニターで見ていたらニッキーの周りだけ真っ赤になっていそう。
ペドロサはニッキーが起き上がるのも見ずに、放心状態って感じでゾンビみたいなポーズで歩きながらコースを後にしていた。間違いなく人生最大のミスだろう。

・ホンダ公式リリース

ヘイデン:「ダニが前に出ることを望んでいなかったのだが、彼は前に出ようとしていた。我々はプロだし、ダニがモーターホームに来て、その件について話をしたし、握手をした。(中略)バレンシアでは何が起こるかわからないし、ダニの助けが必要になる。彼の手が問題なければいい。ダニと1-2フィニッシュできれば、チャンピオンシップはまだ可能性があるからね」
ペドロサ:「どう言っていいのか分からない。今日はミスを犯したし、本当に済まないと思っている。こんなことは自分のキャリアの中で初めてのことだ。この6年間を振り返っても一度もなかったし、最悪の状況の中で起きてしまった。ニッキーには本当に申し訳ない。ただただ、謝るだけしかできない。ニッキーにごめんなさいと謝った。彼の気持ちが動揺していることも理解できるし、その埋め合わせをできたらいいと思っている。」
なんだかすごくニッキーが落ち着いた大人のコメントをしているようなのだが、なにせ公式だし、かなりソフトにしちゃってるんだろうなあ。CLASH.netでは"talk after 'title suicide'"と書いてあったくらいだし。
「ダニと1-2フィニッシュできれば」のあたりで「(今日のコーリンみたいに)上手いこと後続をブロックして、自分をサポートしてくれれば」というニュアンスが仄見える。ペドロサも「埋め合わせをできたらいい」と語っている。

一方ロッシは、うまくコーリンのサポートを得て、トップ争いの位置をキープ。なんとコーリンをパスしてトップ争いに絡んできたのは、今期全く冴えなかったエリアスと、ホンダエンジンをゲットして以来好調のジュニア。
そしてエリアス、ロッシ、ジュニアの順でチェッカー。ラストラップの攻防は見ごたえあった。最終コーナー立ち上がりでロッシが追いつくかと思ったのだが、0.002sec差でエリアスが逃げ切り。写真で見たらタイヤ直径1/4くらいの差だったような。これもまた映画みたいな幕切れ。

・ヤマハ公式リリース

「ロッシ:コーリンが僕の後ろについてきてくれているのを見て、とてもリラックスできた。だって彼が最大限僕を助けてくれるということがわかっていたからね。彼には本当に感謝している。だから一緒に表彰台に上れなかったのが残念だ。
コーリン:「好スタートをきって上位に出て、とにかくバレンティーノを助けようと考えていた。プラクティスでのペースが1分37秒9だから、38秒5をキープできればライバルたちを抑え込めるはずだ。」
「ブリビオ監督:ふたりは互いにとても良い関係を築いていて、その考え方がチームスタッフ全員に伝わっていっている。こうしたことがなぜ重要なのか、今日は実際にそのことをしっかりと見せてもらったよ。」
と、レプソルホンダに向けて発したかのようなコメントを残している。
自転車ロードレースでは、チーム員はエースを勝たせることを第一に戦略を立てていて、これはこれで見ごたえのあるものなのだけど、やはりオートバイのロードレースでは基本は個々人のバトルであって欲しいと思う。
単純な話、自転車ロードレースでは、チームの人数が多いので集団としての戦略がとれるが、オートバイでは1チーム2人程度なので、コーリンみたいな後続ブロック程度しか手が無い。それならば基本戦略を個々人のバトルにしたほうがモチベーションの向上につながる。
とはいっても、前半戦ならともかく、あと残り2戦、タイトルを争うこの時期に、トータルポイントでニッキーに劣るペドロサにサポートをさせなかったのは、さすがに作戦ミスとしか言いようが無いだろう。ペドロサよりもまずは監督を責めたいところだ。


我らが中野は残念ながら、スタート後あっという間に転倒…。
・カワサキ公式チームリリース
そしてチームから公式リリースがいまだに無いのだが、以前から噂になっていた、中野の移籍が決定的になった!

・H.エックル「シンヤはカワサキで続けない」
・Kawasaki confirm Nakano exit.

で移籍先は? トーチュウの記事によるとコニカミノルタホンダ(で玉田の後任?)とのことだが、この点はいまだにトーチュウ以外に裏が取れていないようだ。
中野や青山兄やロッシみたいに、弱いチームをあえて選んで、見事に立て直した選手って、本当にカッコいいし憧れるし尊敬する。おつかれさまと言った感じだ。
中野の後任として青山兄にコンタクトを取ったらしいが、青山兄はKTM残留を選択とのこと。


その青山兄の戦場、250クラスもまた面白かったなあ。青山兄惜しかった。今期7回目の表彰台。

・KTM公式リリース(英語)

もう完全にトップグループの仲間入り。チームメイトのポジャーリが全く冴えないのでより引き立つ。