ワールド・トレード・センター(バレ無し)

911テロの映画。実話を元に映画化したそうだ…というくらいしか前情報無しで見た。あらすじはこちら公式サイトはこちら

てっきり、あからさまな国威発揚映画だとばかり思っていたのだが、上記リンクのあらすじにもあるように「一切の政治色を排し」ている。
自己犠牲の精神、家族愛、耐える勇気、などなど、誰も非難しようがないようなテーマを、お涙頂戴にならない押さえた演出で描く。映画を見て泣きたいと思っている人にはガッカリでしょう。
スペクタクルなシーンもほとんど無く、アクション要素を期待するとガッカリでしょう。あの有名な、飛行機がビルに衝突するシーンすら無いくらいだ。

実話を元にしているからしかたがないのだが、意表をついたどんでん返しがあるわけでもなく、見事な機転による危機の回避があるわけでもなく…。
国威発揚のうさんくささも無く、スペクタクルな破壊シーンがほとんど無いので、悪夢のような記憶を呼び起こされることも無く、お子様をはじめ誰に見せても安心…。
「バレ無し」と書いたのだが、「ネタバレ」して困る要素が、何一つ無いと言うか。
一言で言えば、予想に反して、毒にも薬にもならない、とても平凡な映画であった。


音響効果は、瓦礫の崩れる環境音など、材質感・遠近感がキッチリ感じられて、かなり好感。
何の映画だったか忘れたが、専門誌のインタビューで「街中シーンで全ての動く物に音をつけている」などと、トラック数の多さを自慢しているのはいいのだが、単に音情報が飽和して平面的になっちゃってるだけで、結局のところ聴覚の焦点をどこにもって行けばいいのかわからなくしてしまってる…というものがあったのだが、そういう自己満足的間違いを犯していない。求められている仕事をちゃんとこなしている感じ。