トゥモロー・ワールド(バレ無し)

なぜだか原因不明なのだが、人類全体が不妊症にかかってしまい、子供が18年間生まれなくなってしまった未来…という設定だけで興味を持ち、あらすじすら知らず見た映画。
そんな設定のSF小説や漫画を、いままで複数読んだ記憶があり、なんとなくB級臭い予感もあった。
ところがこれがかなり面白かった。今年見た映画の中では一番面白かったな。
久々にもう一度見返すか、DVDを買いたいと思ってしまった。
公式サイトはこちら。トップページは強制的に予告編ムービーを見せられる、ありえない激重で最悪極まりない糞Flashサイトなので、それをスキップしたメインコンテンツをリンクしてあります。

子供が生まれなくなってしまった原因が語られることはないし、なぜか英国以外がなんらかの災厄に襲われた理由も語られることは無い。それはまあ、あえて語らずでも、ちっともかまわないのだけど、映画前半で、子供が18年間生まれなくなってしまった社会が、そのためにどのように変容してしまたのか、あまり描かれなかったのは残念であった。たぶんSF好きはその点に一番関心があると思うんだけど。もうちょっとだけでも突っ込んで欲しかった感じだ。
ストーリーは、ある少女を数々の陰謀から守り、自由世界(?このへんよくわからなかった。もう一度見たい)への逃避行に焦点が絞られている。
この辺、この映画のあらすじや設定を知って、映画で泣きたかったり、映画からなんらかのメッセージを感じ取りたかったりしたい人には物足りないであろうと思う。
泣けないと言うわけではなく、僕はあの理由で戦闘が一時休戦するあのシーンで、泣きそうになってしまったけど。

音響効果がメリハリがあってとてもよかった。LFE(サブウーハー)の使い方がとても上手い。使いどころを上手く絞り込んでいる。
BGMが、この手のにありがちな、フルオケがべったり張り付いているようなものでもないのもあって、演出的にも音響的にもコントラストが明確だ。
空間表現も細かく作り分けられている。細かく作り分けられてはいるけど、個々の音だけ見れば、なんとなくザックリした、緻密さが少々足りない感じがしないでもないのだけど、全体を通してみたときのメリハリのつけ方がセンス良く、すいぶん堪能した。
このあたり、先日「父親たちの星条旗」を見て、ガッカリしたポイントであったので、なおさら印象深かった。

映像も同様に、緊張と弛緩のメリハリが素晴らしい。期待と不安で胃の腑がずり上がるような、30秒後がいったいどうなるのか待ち遠しくなる映像を、久々に見た気がする。

スタッフロールまで見て、ようやくこれが原作ものだと知った。

人類の子供たち (ハヤカワ・ミステリ文庫)

人類の子供たち (ハヤカワ・ミステリ文庫)

小説の映画化の際にありがちな「ダイジェスト感」を受けなかったので、オリジナル脚本だとばかり思っていた。
冒頭で書いた、以前に同じ読んだ同じ設定のSF小説と言うのは、たぶんこれ。
グレイベアド―子供のいない惑星 (創元SF文庫)

グレイベアド―子供のいない惑星 (創元SF文庫)

読んだのがかなり昔(20年近く前?)なので、詳細は全く覚えていない。オールディスのほかにもあったような気がするが…。

いま公式サイトを見たところ、どうやらハリー・ポッターと同じ監督らしい。いままで特に深い理由もなく、なんとなくハリポタ見てなかったのだけど、この映画を見て初めて、ハリポタも見てみたいと思った。
そのせいか、中学生くらいの女子もけっこう劇場にはいたのだけど、退屈だったらしく、スタッフロールが始まった瞬間に外に出て行ってしまった。