文化が衝突するとき / リチャード・D. ルイス

異文化接触・衝突もののSFが好きなので、現実世界の史実ではどんなもんなのだろうと思って、借りてきたもの。図書館でパラパラ読んでいた時点で、これはちょっと望んでいたものとは違いそうだぞ…とは思っていたのだけど、ひとまず読んでみた。

文化が衝突するとき

文化が衝突するとき

やはり僕が期待していたようなものとは違うようだ。タイトルが「文化が衝突するとき」で、原題も"When Cultures Collide"で同じなのだけど、どちらかといえば「文化を衝突させないために」というタイトルのほうがいいのじゃないの?
国際派ビジネスマンが、即効でビジネスに役立たせるためのハウツー本、という感じだ。

各国のお国柄を比較する読み物としては面白いし、各国の分析のフォーマットがバラバラなのが気になるけど、実際ビジネスマンにとっては役立つ書物なのだろう。
だけど僕が期待していたような、文化が衝突した事例、史実、因果関係、発展、変化、みたいな、異文化接触・衝突もののSFを読むような刺激を味わえることは殆ど無かった。
まあ僕のような期待を持って読むことのほうが、この場合邪道なのだから、それで非難するのは意味無いのだけど。

書かれている視点が、利害関係まずありきの立場の、ビジネスマンからのものに集中しているのも物足りない。
僕は日本のことしか実感としてわからないけど、外国人とビジネスとして会議をするような立場の日本人と接触しているだけだから、そういう分析が成り立つのではないの? と思うことはしばしばあった。
特に若者文化、いわゆる(鳥肌が立つような気持ち悪い言葉で言えば)サブカルチャーをほぼ完全に無視しているのは非常に違和感がある。

僕はサッカーには無知なのだけど、おそらくサッカーがもっともワールドワイドなスポーツで、しかも各クラブチーム内ではかなりの多国籍軍なのだろうし、そのあたりを取材するのも面白いんじゃないかねと思った。というか既にそういう書籍はありそうだ。

フィンランドが西洋の中でも、異質なお国柄を持っているらしきことが繰り返し書かれていて印象に残った。よく日本との類似性を語られている。
そういえば今月号のライディングスポーツ誌での、小山知良(自称コヤマックス)選手の記事に「日本人とさほど変わらない真面目さを持ち合わせるフィンランド人チームにいた小山は、(オーストリアKTMに移籍した)テスト初日から度肝を抜く出来事に遭遇した」というのがあったなあ。ていうか、アジョってフィンランドのチームだったのか。