客観的に検証できることをしないのは良くない

楽器屋でデジレコというフリーペーパーをもらってきたところ、「気になる噂の徹底検証」という特集で「オーディオをメールに添付すると音が悪くなる」とか「海外のファイル転送サービスのほうが音が良い」とか、トンデモすぎる見出しがドーンと出ていて、なにそれどんなネタ記事?とニヤニヤしながら読んでみたところ、なんと大真面目に「検証」しているのであった。

例えばこの記事によると、

メールで添付したほうが、中音域に関して微妙に大人しくなるようです。しかしあからさまに音が異なるということではありません。注意深くABテストを数回重ねた結果、「やっぱりそうだったんだ」と思える程度の微々たる劣化と言えるでしょう。
驚くほど大きな音質差が出たケースは1つも無かった…これが正直な印象です。がしかし何度も繰り返しますが、コピーや書き込みというプロセスには必ずといってもいいほど僅かながらのデータエラーが付きまとうものです。
などと書かれている。

もし百歩譲って、仮にベリファイを行ったとしても「僅かながらのデータエラーが付きまとうもの」だとする。
それならば当然、この場合だったら元ファイルとメール添付したファイルとをバイナリレベルでデータ比較すべきである。「僅かながらのデータエラー」量を計測すべきである。
この点に異論がある人はいるまい。
もしそういう知識が無いのなら、せめて両者のうち片方を逆相にして同時再生、ミックスする程度は、当然行うべきである。
そういう、やって当然な客観的な検証は一切なし。全て主観である。「中音域に関して微妙に大人しくなるようです」だそうである。

この世には、客観的に検証しようの無いものや、客観的に検証してもどうしようもないことはいろいろあるであろう(いまパッと思いつかないが)。
しかし、客観的な検証をしようと思えば出来ることをしないまま、主観のみで「検証」して、冊子として配布してしまうというのは、たいへんよろしくないです。
なんだかものすごく暗い気分になってしまいました。