只見線小出〜早戸〜沼沢湖〜只見線会津若松

さて昨日の続き。只見線の5:30の小出発始発列車に乗って目的地の早戸に向かう。この時間だと完全に真っ暗。2両編成の列車に乗っているのは僕とあと一人。後ろ側の車両を僕だけで独占する。


画像はクリックすると、大きめなものが別ウィンドウで開きます。越後須原に至ったあたりで、空が青みはじめて、意外に積もっていない雪を青白く光らせている。


空が次第に明るくなるのと、住宅が次第に少なくなっていくのと、積雪が増していくのが、同時進行で進む。
大白川を過ぎ、本格的に山岳地帯に入ってからは、特に見ごたえがある。
窓を少し開けて写真を撮る。冷たい風が勢いよく吹き込むが、車内は暖房が効き過ぎなくらいなので、むしろちょうどよい感じだ。

 

 

どんどん気分は盛り上がってくるのだが、いいところで列車は六十里越トンネルに入ってしまった。
この六十里越トンネルとその次の田子倉トンネルに挟まれた、1キロにも満たないところに、有名な田子倉駅がある。3月の今は停車せずに通り過ぎてしまう。ここはバイクか車で訪れてみたいものだ。

田子倉トンネルを抜けると、低く霧が垂れ込めていた。ちょうど太陽のある方向なので、一面が真っ白に包まれている。




さて只見駅に到着。数分間の停車。近くの只見高校の生徒と思われる学生が次々に降りていく。学生と入れ替わるように、数人のお年寄りが乗り込んでくる。

 

 

この区間1日に4本しか電車が無いから、遅刻は絶対に出来ないので大変だろう。唯一の国道252も、1年の半分は通行止めだし、小出側とのアクセスは、列車が唯一の頼れる交通手段なのかな?



只見を過ぎてからは、山岳地帯を抜けたのか、よく視界の開けた風景が続く。日もすっかり昇ったし、とてもすがすがしい。自分で運転が出来ないからという理由で、あまり鉄道旅には興味が無かった僕なのだが、思う存分車窓に熱中できるので、鉄道もまた良いものだ。これからも18きっぷシーズンになったら、ぜひ使わせてもらおう。

 

 

 

 



会津川口駅では、数10分の長い停車。ホームのすぐ脇を只見川が流れている。やはりここでも近くの川口高校と思われる学生が、ぞろぞろと降りていく。

 

 

なにか食べに行こうと思っていたのだが、急に睡魔が襲ってきたので、列車に戻って発車するまで短く深い熟睡をしてしまった。



ここから先は、前回に乗った路線だ。前回は会津若松側から早戸に訪れ、会津中川まで歩き、そこから小出方面に行こうとしたところ、積雪のため運休ということで、会津川口でUターンする羽目に陥ったのだった。

さて思い出深い早戸駅に到着したのだが、積雪は路肩に少ししかなく、駅舎がまるまる見えていて、完全に別の風景になっていて驚いた。今年は暖冬で、しかも3月だとはいっても、予想以上の違いだった。

 

前回の早戸駅こんな状態でした。

まず第一の目的地、早戸温泉つるの湯に向かう。前回は風景に魅かれて歩いているうちに道を間違えてしまい、結局行かずじまいだったのだ。
国道脇のスノーシェードの下を通る。武器にできそうなほどのつららがぶら下がっている。


と、予想よりはるかに駅近くで、あっさりと温泉は見つかった。これなら第2目的地の沼沢湖に先に行き、その帰りに寄る時間の余裕は充分ありそうだ。




というわけで予定変更してまず沼沢湖に行く。看板を見ると3.5kmくらい。どうってことなさそうだ。
と思っていたが甘かった。その3.5kmは延々登りなのだった。気温は2度らしいが汗をかいてしまう。道もほとんど凍結していないし、バイクでも車でもいいから、とにかくエンジンのついた乗り物が欲しい。ほとんど車は通っていない。雪解け水の流れる音と、鳥の鳴き声だけが広がっている。

 

 

  

 



沼沢湖に到着した時はスッキリと晴れ渡っていた。青空と雪化粧した山肌とそれを映し出す湖面。

 

しかし、ちょうどなにかの工事をしていたらしく、巨大なクレーン車が視界を防げていてガッカリだった。


周辺の施設もすべて冬期休業中。それはむしろ歓迎なのだが、工事中のため、肝心の湖にも近づけないのだし、なにもやりようがなく、実に中途半端だ。近くのレストランの展望台も封鎖されていた。せっかくがんばって登って来たのだが、もういいやと数分で引き返してしまった。
帰りは下りばっかりなのでたいして疲れはしないが、自転車でもいいから、とにかく車輪のついた乗り物が欲しかった。



汗もかいたし、足は既に筋肉痛だし(昨日も階段登りと山登りをしたし)、温泉に入るにはピッタリのコンディションだ。
早戸温泉つるの湯は、只見川沿いにある、木造のなかなか雰囲気のいい場所だ。公式サイトはこちら


湯はちょっとだけ緑がかった土色。湯温は熱め。完全に源泉そのままかけ流しらしい。
飲泉も可能とのことで、沸きだし口にコップが置いてある。さっそく飲んでみると、塩味と金属味がハッキリ感じられる。汗をかいたので塩分が嬉しくて2杯飲んだ。あとで効能書きを読んだら「飲泉は1回に1杯、1日に5回まで」などと書かれていたが、まあ気にしない。

4人くらいは入れそうな、狭い露天風呂もある。緑の只見川が目の前に広がっていてよい眺めだ。しかし女湯はどうかしらないが、数100m向こうの対岸にある家からは、この露天風呂は丸見えである。
平日だが、このような温泉の例に漏れず、近辺の老人たちの集会所みたいになっていて、休憩室ではわが家のようにくつろいでいる。他所者は入りづらい雰囲気だ。
しかし入浴料も500円と安いし、ここはなかなか良い。このあたりはまたバイクか車でぜひ来たい。



早戸駅に戻り、会津若松に向かう列車に乗る。ディーゼル路線って、目障りな電線が無いから、風景がきれいでいいね。


前回の豪雪がかなり印象的だったので、あまりの印象の変わりようが、実に面白かった。
豪雪だった前回と比べると、驚くほど積雪は少ないのだけど、それでもやはり関東平野生まれ育ちの僕には見飽きない雪国の風景が続く。雪が解けたあとの雑草が、べったりと撫でつけられるように潰れている、雪の重さの痕跡さえも新鮮に見える。



会津若松では20数分の電車待ち。ぜひ喜多方ラーメンを食べたい気分だ。喜多方ラーメンは、赤坂に以前あったチェーン店でしか食べたこと無いし。駅から出て店を探すが、意外にも駅前には無いようだ。仕方が無いので、駅の立ち食いラーメン屋に入る。麺は喜多方ラーメン風のあれなのだが、全体に平凡ないかにも駅ラーメンって感じでガッカリ。


これは会津若松駅で見た、野口英世列車。
あとはもう寄り道できるスケジュールではない。18きっぷなので普通列車しか使えないし、帰りの列車は1時間に1本あったらラッキー、みたいな感じの路線ばかりだし。延々と8時間くらいかけて都内に向かう。体力的に疲れたが、なかなか今回も面白かった。