ほくほく線 美佐島駅訪問

今回の青春18きっぷの有効期限は4/10なのだが、あと1日分残っている。泊まりが必要なく、ギリギリ行けそうな距離で、行ってみたいと思っていたところということで、今回はほくほく線美佐島駅を訪問することにした。

この駅は、今まで2度訪れたことのある土合駅1回目2回目)と同様に、地下のトンネル内にホームがある駅なのだ。
土合駅とは違い、それほど深い地下にホームがある訳ではないのだが、トンネルとホームの幅が狭く、しかも特急は時速160kmで通過するため、風圧が大変に危険で、列車が到着している間しか、ホームへの入口が開かないようになるらしいのだ。
この駅のことを知ったのは、例によって「鉄子の旅」だ。まだ単行本には入っていない。IKKI本誌で数カ月前読んだ。
特急が通過する時、ホームへの入口前の待合室で、風圧でジェット機の通過のような、物凄い轟音が響き渡る、とのことで、これはぜひ録音してみたいと思ったのだった。
美佐島駅についてはこちらを参照あれ。



家を出てから駅に向かう途中、朝日に照らされる桜がきれいなのでistDで写真に撮ろうと思ったら、なんとメモリカードを入れ忘れていたのに気が付いた。取りに戻るともう電車に間に合わない時間になってしまう。今回は泣く泣く、サブデジカメのLX1だけ使うことにした。istDは重くて荷物になるので駅のコインロッカーに置いた。初っ端から出鼻をくじかれた感じだ。
というわけで中央本線に乗って、まずは松本を目指す。まだ7時前だが、登山客でほぼ座席が埋まっている。高尾を過ぎたあたりからスッキリ晴れてきて気分がよい。
鮮やかな青空をバックに、南アルプスの稜線上の真っ白な残雪のラインが美しい。
途中の日野春駅で数分間の停車。車内の皆さん出てきて盛んに写真を撮っている。年配の方でも、もうみんなデジカメか携帯だ。

 

画像はクリックすると、少し大きいバージョンが開くものもあります。



松本に到着して23分の待ち。蕎麦を食べに行こうと思ったのだが。駅前で見つけた蕎麦屋はまだ営業していなかった。今回は本数の少ない路線に乗るため、スケジュールがシビアなのであきらめてしまう。キオスクでおやきを2個買う。


親戚が長野北部に固まっているので、おやきは家庭の味として知っているのだが、それとは違ってお菓子的に甘くてちょっと好みではない。



篠ノ井線に乗って長野まで向かう。待ち時間は25分なので駅の外に出るのはあきらめた。ホームの駅蕎麦を食べる。いかにも駅蕎麦って感じの味である。
こちらは夜景で有名な姨捨駅のホームからの風景。

 

長野からは飯山線に乗って十日町へ向かう。
以前に乗った只見線と同様、この飯山線も豪雪地帯を走る路線らしいのだが、もう雪は日陰に少々残っている程度だ。それに只見線とは違い、常時集落に沿って走っている路線なので、あまり山奥感がなくて、少しがっかりである。

 

 

でもバイクで鉄道沿いの道を走るなら、交通量が多くなくて眺望がよく、なかなか楽しそうだ。今度ぜひ来たいものだ。



十日町で降りて、北越急行ほくほく線に乗り換える。美佐島までの切符を買って改札に渡すと「え、美佐島…。美佐島までなの?」と疑いの目で見られる。キセルだと思われたのだろうか。やはり、普通は地元の人間以外が行くところじゃないんだろうなあ。
乗り込むと「これはイベント列車です。静かにご乗車を希望されるお客様は、連結部のロングシートにどうぞ」みたいな(うろ覚え)アナウンスが聞こえてきて、なんだなんだ?と思っていると、車内の照明が消えて、天井になにやらファンタジックな光を上映しはじめた。トンネルが延々続く路線なので、それを利用しているようなのだ。

十日町から美佐島まではすぐ、4分で到着。それに無人駅。なのでキセルの疑いもかけられてしまうのだ。

 

ホームで写真を撮っていると運転手から「特急が来ると危ないからすぐにホームから出てくださいね〜」と声をかけられてしまう。
地下待合室に入ると、さっそく甲高い風きり音が、ぴゅ〜ぴゅ〜鳴り響いている。ホームへの出口にロックがかかる。

 

待合室内の写真を撮っていると、特急が通過するとのアナウンスが聞こえて来た。録音レベルをセットする暇も無く、あわててH4で録音開始する。動画はLX1のQVGAの30fpsモードで撮って、H4の音とあとでミックス。これは予想以上の轟音だ。残念ながら多少レベルオーバーして歪んでしまった。

YouTubeだから圧縮が強くて、迫力がどうも伝わらないけど…。
列車の通過時間自体は、4秒くらいなのだが、その後の轟音は1分近く、延々と続いていく。この動画だと、あまりに長いので半分くらいの長さに編集してしまった。とりあえず最大の目的をクリアできた。
長く狭い単線のトンネルが続く路線なので、列車が通過していなくても、どこか遠くで列車が停止して発車するたびに、列車が空気をピストン的に圧縮して、轟音が鳴り響くようだ。

さて、地下待合室の外に出ることにする。あまり深くない階段を昇る。

 

無人駅とは思えない、掃除が行き届いていて、豪華できれいな駅舎である。

 

 

立正佼成会の開祖の出身地が近くで、それ関係の施設が近くにあるとのことなので、そこからなんらかの支援があって、こんな不釣り合いに立派な駅があるのではないかな…と予想したのだが、駅内にはそれらしきパンフレット関係は見当たらなかった。

さて、駅の外に出てみる。外から見ても無人駅とは思えない、立派な駅舎である。
地図はこちら。この通り、トンネルの中から、駅舎だけが地上に出ている立地である。

 

駅周辺は、道路沿いに棚田があるだけで、集落からは数100mほど離れているようだ。駅近くの高台から見下ろして写真を撮っていると、そこまでも例の甲高い轟音が聞こえてきて驚いてしまった。



車で通りがかる人、誰もに怪訝な目で見られるのが気になる。そろそろ駅に戻ることにする。事前に調べて興味深かった、10畳の、お茶、暖房器具つきで豪華だという、地上の待合室にぜひ入ってみる。地元の人がいたとしてもこれは必見だな…と思っていたのだが、幸い誰もいなかった。

 

やはり待合室もきれいに掃除されていて素晴らしい。近くの道路もほとんど車通りは無いようだし、集落から少し離れているので、シーンと静かだ。出発が朝早かったし、うっかり寝てしまいそうだ。待合室の入口は、午後6時で自動的に施錠されてしまうと貼り紙されていたし、閉じ込められたら大変なことになる。
待合室には入口が2つあり、中央はアコーディオンカーテンで仕切れるようになっているので、たぶん地元の方の催しものとか用などでも、利用しているのではと思われる。
お茶をいただこうと思い、ポットにお湯は入っているかな…と調べていると、例の甲高い轟音が聞こえてきて、ハッと時計を見たら、列車到着時刻の2分前だった。あわてて階段を駆け降りる。
ちょうど列車が到着し、出入口のロックが解除された。ホームで写真を撮っている余裕は残念ながら無さそうだ。すぐ乗り込む。



六日町で上越線に乗り換えるまでに、1時間の待ち。今度は食事に出る余裕が充分ありそうだ。六日町の市街に出る。


予想外に若者向けで都会的な感じの店が多い。しかし僕が期待しているのは、そういうものではなく珍ネタと蕎麦屋である。
ここは音楽教室らしいのだが、なんですかこの鍵盤は。すごく気持ち悪い響きの和音になりそうである。


この鳥居の奥には階段があるのみなのだが、もしかしたらこの建物の二階に神社があるのだろうか?


とうとう蕎麦屋を見つけたのだが、内部に入ると、どちらかというと居酒屋といった様子である。もりそばを頼む。まずくはないのだけど、印象に残らないというか、蕎麦にもつゆにも、味の要素の中に「主役」がいない感じだった。

六日町を出発してからは、あとは延々列車に乗るだけ。もう暗くなってしまったので車窓を眺める楽しみもなく、これをザウルスで打ったり、デジカメの写真を見返したりしている。
渋川あたりまで来たところで、遠くで稲光が激しく光って驚いた。追って激しく雨が降ってくる。さすが「ゴロピカリ」という名のブランド米があるくらいに雷が多い地方である。