ザ・シューター 極大射程 (少々ネタバレ)

狙撃手モノということで、日本のゴルゴ13とはどんな風に違うんだろうと興味を持って見た映画。

公式サイトはこちら。BGMをOFF設定にしてもページを切り替えると、設定がリセットされてまた鳴り出す設計が気に食わない。
原作はこちら。これは読んだことが無い。

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

主人公が狙撃手という設定である、というだけであって、狙撃手ならではの技量を生かして、戦闘や駆け引きや話が進んでいくようなものではなかった。狙撃手って言うか特殊部隊的なスキルのほうが強調されまくっている。
普通のアクションもの、タフガイヒーローもの映画だ。隠れて潜んでスナイピング…じゃ、ヒーロー映画になりにくいからなあ。
僕はそれこそ「アメリカ版ゴルゴ13」的なものを期待してしまっていたので、予期せぬベタベタの勧善懲悪ヒーロー映画だったのには、かなりガックリきてしまった。
いまどきの子供向けアニメでもこれほどベタベタではないだろう、と思うほど、悪人が悪人らしい映画だった。

どうも全体に甘さというか安っぽさを感じる。真犯人が狙撃の痕跡をしっかり残してしまっていたり、ゲームかよと思うくらいに主人公にとって必要なアイテムがあっさりと入手できてしまったり(パトカー内の緊急治療キットとか逃走時の車とか)…。
軍産複合体を絶対悪として描くのは良いとして、FBIをもっとうまく絡ませていけば、主人公との三角関係に深みが出て面白くなったのではないかな、もったいない、と思った。ここがこの映画で一番気になったところだ。

音楽が全面的にベタっと貼り付けられているのも、なんだか平板でベタな印象を強調していた。LFEの使い方にメリハリがあって音響効果には好感を持った。

むしろ、帰宅したらヒストリーチャンネルでやっていた「孤独のスナイパー」というドキュメンタリーのほうが、僕の期待に応えるような、刺激的な内容であった。
とはいうものの、映画と同じくこの番組でも、スナイパー特有の技術、具体的に言えば超長距離射撃での照準補正の実際には、ほとんど触れられていなかったのが残念だ。いまさら軍事秘密にするような技術じゃないと思うんだけど…。