開いた瞬間に「石川直樹」
図書館でなにげに最新号の「山と渓谷」誌を読んでいたら、開いた瞬間に「あ、これは石川直樹だ」と思わされた写真があって、クレジットを見るとやはりそうだった。石川直樹の写真は特別に愛好しているわけでもないし愛着があるほどではないのだけど、写真雑誌などで掲載されていると、明らかに他の写真群とは異質な存在で、どうしても目が吸い寄せられてしまう。
- 作者: 石川直樹
- 出版社/メーカー: リトル・モア
- 発売日: 2007/11/16
- メディア: ハードカバー
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たぶん無理やり分析しようと思えば、フラットな光を好むところから来る奥行きの薄さや、ドラマティックな演出や画面構成を避ける姿勢とかが、その質量の無さ感を僕に感じさせているのかもしれないけど、それにしたって極地を撮ろうが富士山を撮ろうが今回の山と渓谷誌の華恵の写真でさえも、印象が全く変わらないっていうのは、被写体に対する姿勢が、なにか常人とズレているとしか思えない。常人が撮ろうと思って撮れる写真ではない。
喫茶店とかレストランの壁に、1枚だけ石川直樹の写真が貼ってあったら、その空間だけ、なんだか居心地が悪くなってしまいそうだ。普通の雪山の写真だとしても。いや居心地が悪くなる=悪ってことではないのだよ。居心地を悪くしてしまうだろう写真の力に、僕はなんだか妙に惹かれてしまう。この感覚って誰かと共有できるだろうか。できたらいいな。