コンパクトデジタルカメラ Canon PowerShot G11

常時持ち歩き用のデジカメとして、PanasonicのDMC-LX1というのを3年近く前から使っていたのだが、なにせ感度を上げると盛大に色ノイズ・輝度ノイズが出てしまう。先日に落っことしてカバーが歪んでしまったことをきっかけに、他の機種に切り替えることにした。

次機種に求める要件は以下のとおりである。

(1)デジ一眼ほどでなくてもいいが高感度に強いこと。
(2)RAWで撮影できて、LightRoomで現像できるもの。
(3)広角端が換算28mmからスタートするもの。
(4)マニュアル操作が充実しているもの。

以前は、ポケットに入れられることも重要に思っていたのだが、最近は常時、手帳やPDAを入れるポーチを持ち歩くことが多いので、特にこだわり無くなってしまった。
この要件を全て満たすのが、Canon PowerShot G11だったわけである。

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・スペシャルサイトってのもあります。

キヤノンのデジカメを使うのは10年振りである。以前使っていた機種名は忘れてしまった。2000年まで使っていたのだけど。最大で1024*768という時代のものだった。

さてこのG11、写りはかなり満足のいくものだ。以下の話は全てRAWで撮影してLightRoomで現像した、という条件での話です。
全体的な印象として、メインで使っているデジ一眼のPentax K10Dと比較しても、低感度だったらそれほど遜色ない。K10Dで撮った写真とごっちゃにして現像作業をしていても、ほとんど違和感が出ない。
真面目にテストしたわけじゃないけど、ダイナミックレンジは2EVほど狭いかな。しかし、特にハイライトで飛んでしまう寸前のところが、変な色転びをしないので、むしろK10Dより扱いやすい。これはちょっと驚いた。
懸案の高感度時のノイズも、コンパクトデジタルにしてはかなりたいしたものだ。これまた真面目にテストしたわけじゃないけど、LX1のISO200とG11のISO800とK10DのISO1600が同レベルって感じかな。


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操作性もかなり好みである。

この図を参照すればわかるが、露出補正・ISO切り替えがダイヤルで常時確認でき、即アクセスできるというのは、実に素晴らしい。デジ一眼もこうであってほしい。

特にISO切り替えがダイヤルで即できるというのは、実に便利である。シャッター速度と絞りを保ったまま、ISOを切り替えて露出調整が可能なのだ。K10DのTAvモード的に使用できるわけだ。多少ノイズが出ちゃってもいいから、最低でもこのシャッター速度と絞りはキープしておきたいな…という時に、さっそく多用している。
ただし、残念なことにこのISO切り替え、なんと1EV刻みなのだ。なんで?ダイヤルは充分に大径だし、1/2EV刻みに出来ると思うのだけど。実にもったいないと思う。

僕が*istD、K10Dを選択した理由として、ハイパー操作系が便利だから…というのがあるのだが、それと似た機能があるのも良い。
マニュアル時にAEロックボタンを押すと、適正露出にしてくれる。これはハイパーマニュアルのグリーンボタンっぽい操作だ。
AE時にAEロックボタンを押すと、単にAEロックするだけではなく、EVを保ったままシフトが出来る。シャッター速度や絞りの異なるバリエーションを押さえておくときに便利。ただしこのAEロック、1回撮影したら外れてしまうのが残念。例えばAEロックボタンをダブルクリックするまでロックし続ける…とか出来ないものかね?これはファームで対応できるのでは。

撮影後の画面表示で、ピント確認が出来るのも便利。全体画面と独立して、ピントチェック画面が別ウインドウで出てくる。顔認識のAFを使っていたなら、自動認識した顔の部分が別に拡大されるわけだ。これは便利。
他にもいろいろ便利機能があるようなのだけど、まだ覚え切れていない。

3:2のアスペクト比で撮影できないのはイヤだなあ…とカタログを見て思っていたのだが、ありがたいことに液晶画面で、3:2の範囲をマスキングして表示するオプションもあるのだ。せっかくだから他のアスペクト比、例えば1:1とか16:9とかでもマスキング表示してくれるとモアベターなのだが。これもファームで対応できるのでは。

僕はJpegは特に必要としていないのだけど、デフォルトでもJpegの画質は充分悪くなかった。僕の好みからすると、少しコッテリではあるのだけど、不自然な強調もそれほどないみたいだし、ちょっと設定をいじればJpegでも充分自分好みに出来そう。
ただ、16GBのSDを使えば900枚以上撮影できるし、LX1と違ってRAWでもレスポンスはなかなか速いしで、わざわざJpegを使う理由があんまりないんだよね。デフォルトでRAW+Jpegにしておいて、メモ的な画像なら後でRAWだけ消す…とかできるし。

光学式のファインダーも一応ついていて、こんなんいらねえ…と思っていたのだが、実はこれは有効に使える場面があるのだ。バッテリー残量がほとんど無くなったときは、自動的に液晶は非表示になり、その後に20枚ほど撮影が出来た。もちろん露出やピントの確認などは出来ないのだが、光学式のファインダーのおかげで20枚分撮影できたのだ。なかなか充電できないツーリング時などには助かる。

不満点ももちろんある。
広角端(6mm)から8mmくらいの間まで、樽型の歪曲がある。建造物とかだと、かなり気になる。あとで修正必須。
広角端(6mm)から12mmくらいの間まで、倍率色収差が出る。逆光時に出るとかじゃなくて、常時出る感じなのだ。
まあコンパクトデジタルだから仕方が無いって言えば仕方が無いし、LX1に比べたらこれでも全然優秀なのだが、他がかなり満足がいくから、どうしても気になってしまう。

困ってしまうのは、ボタンの位置の問題で、カメラを持ちづらいのだ。この背面画像を見ていただきたいのだが、親指の先でAFフレーム選択ボタンを押してしまったり、親指の付け根でMENUボタンを押してしまったりしたことが何度もあった。AFフレーム選択ボタンは少し慣れたが、MENUボタンの位置はいつまでたっても押し間違える。右手の構え方を根本的に変える必要がありそうだ。
僕は縦位置撮影をするときに、右手を下にする派なのだが、DISPボタンを押してしまうことが何度もあった。右手を上にする派に変えるしかこれは対処のしようがなさそう。

RAW現像は、DPPというものが付属している。これならば焦点距離情報を読み取って、上述した歪曲や色収差の補正を自動的にやってくれて、メリット大である。ただ、僕はどうしてもLightRoomから離れられなかった。
K10Dで撮影した分とごっちゃに管理できるというメリットももちろんあるのだけど、色傾向の好みが圧倒的にLightRoomだった。DPPでももちろん慣れて追い込めば好みに近づくのかもしれないのだけど、LightRoomみたいに、手軽に色ごとに色相・彩度・明度をコントロールできないからなあ…。半日DPPを使ってみたが、どうしてもピンと来なかった。