ベンダ・ビリリ!

http://bendabilili.jp/movie/director.html
なんといっても手作り楽器「サトンゲ」を操るロジェ少年の成長がこの映画の見所。メンバーにロジェ少年が加わって最初のリハーサル、ほかのメンバーが繰り返す2小節ループに、ロジェはルート音をまず重ねていく。今まで合奏というものをほぼしたことがないであろうロジェ、その姿や弾き方はまさしく手探り、という感じ。ルートを見つけたロジェ、音階的に展開をはじめ、メンバーのギターとコール&レスポンスをはじめ、リフがある程度決まったところで、さっそくアドリブで展開を始める。この間わずか数分。鳥肌が立った。ものすごく主観的で抽象的であやふやな「才能」って言葉が、実際の形として現れた瞬間。音楽が誕生した瞬間。

実際のところこのバンドはロジェのサトンゲなしにはこれほど魅力的にはならないだろう。編成的・音響的にもバンドの持つ楽器に欠けている音域を一人で担っている。
いわゆるアフロ・ビートの強固さには欠けるのだけど、とにかく熱量がすごい。その熱量に当てられて血液が沸騰してしまう。初公演でロジェがリッキーの振りを受けてリードボーカルを取ったシーンなど素晴らしかった。約1時間半があまりにも短く感じた。もっとコンゴ時代を時間をかけてじっくりと見たかった。
障害者だから、とか、路上生活者だから、とか、そういうエクスキューズや付加価値や予備知識一切なしでも素晴らしい音楽。

屈強のコンゴ魂

屈強のコンゴ魂

映画館を出た足でタワーレコードに行ったけど売り切れていた。
ところでコンゴのぼろいスタジオでもレコーダーはProtoolsだった。いまやアナログよりずっとローコストなんだろうな。