オンラインゲーム空間で想定外の「疫病」が猛威

これは友人からの情報提供ネタだ。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20050926202.html
僕はまったくネットゲーは嗜まないのだが、これは興味深い事件だ。…と思うのだが、訳文のせいなのか、どうも因果がよくわかんないのだよね。英語がわかる人のために原文はこちら

プレイヤーたちがこのダンジョンの最終ボスまで到達したとき、予想以上の試練が待ち受けていた。知らないうちに何かを町まで持ち帰り、仲間たちに分け与えてしまうのだ。最終ボスのハッカー・ザ・ソウルフレイヤーは「邪悪な血」という呪文を投げた。攻撃された本人が280ポイント前後のダメージを受け、パーティーのメンバーも同時にダメージを受ける強力な呪文だった。『WoW』の世界では、こうした強力な呪文は決して珍しくはない。しかし、この次に起きたことは本当に奇妙だった。
感染した冒険者たちがクエストを終えて町に戻ると、知らず知らずのうちに邪悪な血を周囲の仲間に感染させた。疫病はすぐさま一族の間に広まっていき、まもなくいくつもの都市がこの人工的な病気の餌食となった。
いまいちよくわからないのだが、これって最終ボス戦限定エリアで効果するはずの攻撃が、バグのせいで?エリアを脱しても効果を持続してしまい、無関係のプレイヤーも「パーティのメンバー」とみなされ、あたかも伝染性の疫病であるかのように効果が広がっていった…ってことなのかな? もうちょっと引用してみよう。
コンピューター・ウイルス自体は新しいものではないが、今回のように悪意のないところから発生し、仮想世界で感染が広がったケースはかつて例がない。邪悪な血はある意味、環境の中で自然発生したものなのだ。さまざまな生命体がそうしてきたように、進化して自己増殖の道を探ったとさえ言えるかもしれない。
…このように「環境の中で自然発生」と書かれると、バグというわけではないように読めてしまうので、なんだか混乱してしまう。

それは保留しておくとして、この話のキモは「悪意のないところから発生した」問題が、ウイルスと同様の効果を持ってしまった面白さだろう。SF小説に出てきそうな設定ではないか。
未来の二つの顔 (創元SF文庫)造物主(ライフメーカー)の掟 (創元SF文庫 (663-7))ホーガンの「未来の2つの顔」や「造物主の掟」では、自己修復機能・自己防衛本能を植えつけられたコンピュータが、悪意もないのに「必然的に」人間を攻撃するにいたってしまう。
大暴風〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)ちょっと話はそれるが、バーンズの「大暴風」には、月面上に取り残された自己複製・自己改良型ロボットが、生き残りのために「必然的に」経済活動を始めてしまう…というエピソードがある。
これらのSF小説上での設定は、バグというわけではなく、コンピュータが自己判断で合理性を追い求めていった結果、必然的に「戦争」や「経済」を形作ってしまった…というのが面白かった。4年ほど前にレビューしたのが↓こちら。
http://kanaita.web.infoseek.co.jp/book_html/lifemaker.html
今回のこのニュース、なんとなく単なるバグ(ケアレスミス系?)のような気がするのだけど、もし本当に「環境の中で自然発生」したのなら、ぜひ詳細を知りたいところですね。