ダイヤのA・おおきく振りかぶって

最近は週刊少年マガジンも立ち読みですますことが多くなっていたので、不覚にも最近まで読み飛ばしてしまっていた。滝川クリステル、じゃなくて、滝川クリス先輩が活躍しだす回をたまたま読み、クリス先輩カッコイイじゃんと感心してちゃんと読むようになった。
ちゃんと単行本で始めから読みたいと思っていたのだが、近所の書店では店員に尋ねたところ、「大人気で」全巻売切れてしまっていた。結局、最新の3巻までを取り寄せてもらった。

ダイヤのA(3) (講談社コミックス)

ダイヤのA(3) (講談社コミックス)

野球エリートから見れば野生児キャラの主人公が、自分の特長を生かしてのし上がっていく成長譚…と一言でサッパリとカテゴライズできる、少年漫画のド王道の漫画なのだ。
フォーマットとしては特に目新しくはない、奇を衒ったところはどこにもないのだけど、読み進める手が止まらなくなる、話の先を知りたくてたまらなくなる、シンプルな力強さがとても魅力的だ。
「勝ち/負け」の世界の、誰の目にも明らかに優劣が決定するシビアさ、そのシビアな世界を生き残っていこうとする登場人物たちに読者が抱く憧れを、逃さずにしっかりと刺激してくる。そのあたりの上手さは、作者が高校時代まで競技者だったこととおそらく関係が深いと思う。

いま大人気の野球漫画といえば「おおきく振りかぶって」なのだが、面白いとは思うものの、最後のなにかあと一歩が足りなくて、ハマることができないなあと思っていたのだけど、なんとなくその理由がわかったように思った。

おおきく振りかぶって(6) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(6) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって」の場合、「勝ち/負け」の世界そのものを描いていると言うより、局面ごとの「勝ち/負け」を描くことに集中しているように見える。
それ自体がいいとか悪いとかじゃなくて、自分が「おおきく振りかぶって」に今ひとつハマれない、登場人物に思い入れがわかないわけがなんとなくわかった気がして、それが興味深かった。